- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0911CD003
- 開始/終了年度
- 2009~2011年
- キーワード(日本語)
- 溶存有機物,難分解性溶存有機物,湖沼,物質収支,霞ヶ浦
- キーワード(英語)
- dissolved organic matter, recalcitrant dissolved organic matter, lake, mass balance, Lake Kasumigaura
研究概要
本研究は,富栄養湖霞ヶ浦において,全有機炭素(TOC)を有機物パラメータとして,湖水溶存有機物(DOM)および難分解性DOMの特性・起源に関する知見を集積して,その知見を基に,湖内3次元流動モデルを用いた物質収支算定により霞ヶ浦における難分解性DOMの主要発生源の寄与(季節的・地点別)を定量的に明らかにすることを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
[H21年度]サブテーマ1:湖における難分解性DOMの物質収支に関する研究
霞ヶ浦5地点,流入河川4河川において水サンプルを,霞ヶ浦3地点で底泥コアサンプルを毎月採取する。サンプルをDOM分画手法に供する。霞ヶ浦3次元流動モデルのメッシュサイズを細かくして解像度を上げる。
サブテーマ2:DOMおよび難分解性DOMの特性・起源に関する研究
霞ヶ浦で優占する藻類を室内培養して,藻類由来DOMの生産量・速度,分解性等の特性を評価する。河川降雨時調査を実施して,降雨時における河川水DOMの特性等を評価する。霞ヶ浦3地点で採取した底泥間隙水の鉛直濃度プロファイルから溶出フラックスを求める。湖水DOMや河川水DOMの安定・放射性同位体比,分子サイズ,3次元励起蛍光マトリックス,糖類・アミノ酸組成等を測定して,起源・特性を評価する。
[H22年以降]サブテーマ1:前年度に引き続き湖水・河川水でサンプルを採取してDOMと難分解性DOMの動態を評価する。難分解性フミン物質を対象として湖内流動モデルのモデル検証を行う。さらに,得られた調査データを使って難分解性DOMの物質収支に係るモデル計算を行う。最終年度には,底泥浚渫等の対策効果をモデルで評価することを試みる。
サブテーマ2:引き続き,藻類由来DOMや降雨時河川水DOMの特性を評価する。底泥溶出フラックスも算定する。多くの手法を駆使して得られたDOMサンプルの特性・起源を評価する。最終年度は,データ整理と解析を実験と同時並行で行う。
今年度の研究概要
サブテーマ1.湖における難分解性DOMの物質収支に関する研究
1-1 湖水・河川水におけるDOMと難分解性DOMの動態
前年度に引き続き,霞ヶ浦5地点,主要流入4河川において水サンプルを,霞ヶ浦3地点において底泥コアサンプル(間隙水サンプル)を毎月採取する。サンプルをDOM分画手法に供する。
1-2 湖内流動モデル構築と物質収支算定
前年度構築した霞ヶ浦湖水3次元流動モデル(基本モデルはPrinceton Ocean Model,100m×100mメッシュ,鉛直10層)を用いて,難分解性DOMの物質収支のモデル計算を実施する。当該モデルを使って,底泥浚渫や高度下水処理プロセス導入等の影響をモデル解析する。
サブテーマ2. DOMおよび難分解性DOMの特性・起源に関する研究
2-1 藻類由来DOMの特性評価
これまでに得られたデータの整理と解析を行う。
2-2 河川降雨時におけるDOMの特性評価
これまでに得られたデータの整理と解析を行う。
2-3 底泥間隙水DOMの特性と溶出量算定
前年度に引き続き,霞ヶ浦で水塊特性が異なる3地点で底泥コアサンプルを毎月採取して,深さ別に間隙水と底泥を採取する。間隙水DOMの鉛直濃度プロファイルの地点別・季節的変化を求める。濃度プロファイルからDOMの溶出フラックスを算出する。
2-4 DOMの起源・特性評価
前年度に引き続き,下記の分析・解析を実施する:(1)炭素同位体比解析—湖水・河川水DOM,フミン物質,底泥等に対して安定同位体・放射性同位体比解析を行う;(2)分子サイズ分析—TOC検出サイズ排除クロマトグラフィーシステムによって採取DOMサンプル等の分子サイズを測定する;(3)三次元励起蛍光スペクトル—採取サンプルに三次元励起蛍光測定を実施して,励起・蛍光マトリックスを作製する;(4)糖類及びアミン酸組成分析—採取サンプルの糖類組成およびアミノ酸組成を分析する。
- 関連する研究課題
- 24707 : 生物多様性・生態系情報の基盤整備
- 0 : 地域環境研究分野における研究課題
- 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題
課題代表者
今井 章雄
担当者
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小松 一弘
-
高津 文人地域環境保全領域
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川崎 伸之
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佐藤 貴之