- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 1010AF006
- 開始/終了年度
- 2010~2010年
- キーワード(日本語)
- 放射性炭素,土壌炭素,土壌呼吸
- キーワード(英語)
- Radiocarbon, Soil carbon, Soil respiration
研究概要
日本の土壌を代表する黒ボク土は、炭素含有量が高く、地球温暖化緩和対策が進められている現在、その高い炭素蓄積能力が注目されている。一方、気温上昇は土壌有機物の分解を促進すると予想されており、土壌有機物分解の温度上昇効果の解明は急務の課題である。本研究では、黒ボク土の耕地を対象に、土壌を加温する野外操作実験と14C年代測定から土壌有機物の分解に及ぼす温度上昇の効果を評価することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
土壌中には、短期間(1年以下〜数年)で分解される易分解性のものから、安定した状態で数百年から数千年蓄積する難分解性のものまで、蓄積と分解のサイクルが異なる炭素画分が存在する。土壌有機物分解に起因するCO2放出量は、これらの画分の量と温暖化に対する感受性により制約される上、環境要因との相互作用によって制御されると考えられる。本研究では、温度上昇による有機物分解量の変動を、温度変化に対する土壌有機物の分解特性から明らかにするために、14C年代測定を用いて、以下の実験を行う。
易分解性の炭素の少ない耕地を選んで、土壌を温める野外操作実験を行う。非加温区と加温区を設定し、土壌CO2および土壌呼吸CO2の14C年代測定を行う。この結果と土壌呼吸の連続測定結果を比較し、温度上昇による難分解性有機炭素の分解促進が起こるのか、土壌有機物分解に及ぼす加温効果を定量・定性的に評価する。また、作物残渣を土壌に投入し、土壌から放出するCO2の14C年代の測定を行う。森林や草原での加温実験から議論されている、加温期間が長くなるに従って温度上昇に対しても土壌からのCO2放出量が変化しなくなるという、見かけ上の土壌有機物の分解が鈍化が、土壌中の分解基質の組成変化によるという仮説について検討を行う。
今年度の研究概要
長期間有機物の投入が行われていない耕作地で、年に2期(小麦、大豆)野外温暖化実験を行う。非加温区に対して、加温区を設定し、土壌呼吸速度の測定と共に、土壌CO2および土壌呼吸CO2の同位体分析(13C、14C)を行う。加えて、土壌を比重によって選別し、土壌画分毎に炭素・窒素含有量、同位体分析(13C、14C)を行う。この結果から、温度上昇による難分解性有機炭素の分解促進が起こるのか検討する。また、大豆作付け前には、作物残渣(小麦)の投入を行う。これらの結果から、土壌中の有機炭素組成が、土壌有機物分解に及ぼす加温効果に影響を与えるのかを検討する。
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