- 予算区分
- BA 環境-地球推進 S-4(1)
- 研究課題コード
- 0507BA507
- 開始/終了年度
- 2005~2009年
- キーワード(日本語)
- 温暖化影響,気候安定化,統合評価モデル
- キーワード(英語)
- CLIMATE CHANGE IMPACT, CLIMATE STABILIZATION, INTEGRATED ASSESSMENT MODEL
研究概要
濃度安定化等の温暖化抑制目標とそれを実現するための経済効率的な排出経路、および同目標下での影響・リスクを総合的に解析・評価するための統合評価モデルを開発する。開発にあたっては、関連分野の影響予測・経済評価研究および適応策研究から得られる温暖化影響関数を統合評価モデルに集約的に組み込むことにより、精緻かつ現実的な影響推計を比較的簡便に実現可能であるようにする。本統合評価モデルを用いて、種々の温暖化抑制目標を前提とした場合の、「危険な影響」が発生する可能性とその発生時期を提示することを目的としている。評価対象期間としては、今世紀中頃(2050年頃)までに重点をおきつつ今世紀末までを取扱う。『危険な影響』を如何に決定すべきか、については、衡平性、予防原則、不確実性といった観点から、新たな方法論・概念の開発を試みる。
本研究課題において統合評価モデルの一環として開発する「気候・社会経済シナリオデータベース」は、S-4のその他の研究課題において共通シナリオとして利用される。また、S-4のその他の研究課題で行われる影響予測・経済評価研究の結果を温暖化影響関数としてとりまとめ、統合評価モデルに組み込むことなど、各公募領域研究と緊密な連携をとりつつ研究を進める。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
[H17] ・IPCC評価報告書、専門家会合資料、欧米の政府資料等を参照し、既存の抑制目標決定を支援した科学的知見や目標の評価基準に関する整理を行う。・農業生産性モデルを用いて、農業分野の影響関数(世界)を開発する。この影響関数の出力は、作物別生産性変化(kg/ha)と飢餓リスク人口(人)である。また、水資源、植生、健康については、既開発の全球規模の影響評価モデルを基に、その推計精度を高めるための改良を施す。また、S-4課題全体の総括班の役割として、S-4のその他研究課題と共通で利用する「気候・社会経済シナリオデータベース」を開発・提供する。・排出最適化モデルを開発するとともに、統合評価モデルの仕様について検討する。さらに、農業分野の影響関数(世界)との連結を行い、統合評価モデルを試作する。 [H18] ・既存の抑制目標決定を支援した科学的知見や目標の評価基準に関する整理を基に,独自の評価基準・手法作成のための枠組みを検討する.・水資源、植生、健康の3分野について影響関数(世界)を試作し,統合評価モデルに組み込むための調整を行う.・複数の分野別影響関数(世界)を実装した統合評価モデルを用いて,各種の温暖化抑制目標の下での影響の定量的推計を全球について行えるように調整する. [H19] ・従来の評価基準・手法を発展させる形で、統合評価フレームワークに適した独自の評価基準・手法を提案する。気候変動のもたらす危険な水準についての知見を温暖化抑制政策へ反映させる方法を提示する。・農業、水資源、植生、健康の4分野について影響関数(世界)を開発し、統合評価モデルに対して提供する。・影響関数(世界・日本)を連結した統合評価モデルを完成させ、各種の温暖化抑制目標の下での影響の定量的推計を全球・日本について行えるようにする。さらに、抑制目標の評価基準・手法を用いて、温暖化の危険な水準および温暖化抑制目標に関する検討を行う。
今年度の研究概要
影響関数を組み込んだ統合評価モデルの完成・精緻化に取り組む。また,日本を対象とした影響関数の実装と安定化シナリオ下での影響評価を試みる。さらに,農業、水資源、植生、健康の4分野の影響評価モデルを精緻化し、世界を対象とした温暖化影響への適応策の評価(規模と効果、コスト)を行い,その結果を統合評価モデルに実装する準備を行う.
備考
「S-4:温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の総合的評価に関する研究」の一課題