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地球温暖化による豪雨発生頻度の変化が長江河口・沿岸海域の水質・生態系に及ぼす影響(平成 20年度)
Impacts of Precipitation Changes Caused by Global Warming on the Water Environment and the Ecosystem in the Changjiang Estuary

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0708CD316
開始/終了年度
2007~2008年
キーワード(日本語)
地球温暖化,豪雨発生頻度,汚濁負荷流出,長江,赤潮
キーワード(英語)
GLOBAL WARMING, HEAVY PRECIPITATION FREQUENCY, POLLUTE RUNOFF, CHANGJIANG RIVER, RED TIDE

研究概要

本研究では長江流域およびその河口・沿岸海域の水・物質循環および低次水界生態系モデルを構築するとともに,中長期(〜2100年)の将来を対象として地球温暖化が長江河口・沿岸海域の環境・生態系に及ぼす影響を明確にすることを目的とする.地球温暖化による影響は様々であるが,本研究では環境・生態系に著しいインパクトを与える極端事象に焦点を絞り,「豪雨発生」→「陸域からの水・栄養塩流出」→「沿岸海域における富栄養化現象の発生」という一連の事象の発生頻度が地球温暖化によってどのように変化するか,数値シミュレーションをとおして定量的に評価する.

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

1. 地球温暖化による豪雨発生頻度への影響評価(2007年度)
 IPCCより入手した12全球気候モデルの計算結果を統計的ダウンスケールおよびマルチモデルアンサンブル解析を行い,地球温暖化による様々な時空間スケールにおける豪雨発生の統計的特性の変化を明らかにする.
2. 長江流域における水・栄養塩流出モデル(2007〜2008年度)
 本研究では,雨水流出モデルに有機炭素・窒素・リン・ケイ素の輸送モデルを組込んで統合化するとともに,1.で得られた結果を応用して地球温暖化による豪雨発生頻度の変化が長江流域の水・栄養塩流出に及ぼす影響を評価する.
3. 長江河口・沿岸海域における水質・生態系モデル(2008年度)
 2.で得られた結果を応用して地球温暖化による長江流域の水・栄養塩流出量の変化が河口・沿岸海域における水質・生態系,とくに鞭毛藻・渦鞭毛藻類による赤潮の発生頻度に及ぼす影響を明確にする.

今年度の研究概要

1. 長江流域における水・栄養塩流出モデルの構築
 昨年度収集した中国の水文・水質データ,衛星データを用いて長江流域の雨水・栄養塩流出モデルを構築し,その妥当性の検証を行う.
2. 長江河口・東シナ海の流動・水質・生態系評価モデルの構築
 本研究で構築した沿岸域の流動・水質・生態系評価モデルについては昨年度までの研究で国内フィールド(東京湾,伊勢湾)にて有用性が確認されている.今年度はそのモデルを長江河口・東シナ海に適用し,昨年度及びこれまで国立環境研究所が現地調査・収集してきたデータを用いて,水温・塩分濃度,栄養塩濃度,植物プランクトン濃度の再現性を吟味する.
3. 地球温暖化による東シナ海の水質・生態系環境に及ぼす影響評価
 1,2.のモデルを用い,昨年度までの研究で明らかにした地球温暖化による長江流域の豪雨発生頻度の変化が陸域からの水・栄養塩流出及び沿岸域の赤潮・貧酸素水塊等の富栄養化現象の発生頻度に及ぼす影響を数値シミュレーションをとおして定量的に明らかにする.地球温暖化を考慮した流域−沿岸−海洋の総合的管理手法の基本的な枠組みを提示する.

課題代表者

東 博紀

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 土木工学,農学,水産学
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