- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0607CD925
- 開始/終了年度
- 2006~2007年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,統計解析,温暖化要因推定,極端現象
- キーワード(英語)
- CLIMATE CHANGE, STATISTICAL ANALYSIS, ATTRIBUTION OF CLIMATE CHANGE, EXTREME EVENT
研究概要
地球温暖化が進むことで、極端な気象現象(以下極端現象)の頻度分布が大きく変化することが、大気海洋結合モデルを用いて予測されている。しかし、モデルが現実の頻度分布を精度良く再現しているかどうかは、これまで十分に検証されてこなかった。ここでは、モデルで計算された20世紀中の極端現象の頻度分布変化が、観測を再現できているかどうかを最新の統計分析手法を用いて検証し、可能であれば将来予測の不確実性の削減を試みる。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本課題では、20世紀中に観測された極端現象の頻度分布変化を、モデルがうまく再現できているかどうかを検証する。H18年度は、CCSR/NIES/FRCGCの大気海洋結合モデルMIROC3.2を用いた20世紀気候再現実験と観測データの比較を行う。この実験は、20世紀に観測された気候変動要因を外部強制力として与えて大気海洋結合モデルを積分し、20世紀の気候変化を再現したものである。ここで考える外部気候強制力は温室効果ガス濃度変化、エアロゾル排出量、オゾン濃度変化、土地利用変化、太陽活動変化、火山噴火などである。H19年度は、近未来予測における極端現象のS/N比に関する研究を行う。
今年度の研究概要
本年度は、昨年度の成果をふまえて、気温の極端現象に関して確率的表現を含んだ将来予測を行う。ここでは、 最近になって重要性が認識されるようになってきた2030年までの近未来予測を行う。 近未来予測では、特に次の2、30年の間での極端現象の変化を詳細に記述することが求められる。 これらの近未来の極端現象の変化予測は、 政策決定者が気候変動に対する影響の軽減策や適応策を立案するためにきわめて重要な意味を持つ。
近未来予測では、長期予測よりも温暖化シグナルに対する内部変動の大きさの比が大きくなる。つまり、内部変動によって温暖化シグナルが覆い隠される可能性がある。そのため、本研究では、近未来予測におけるシグナルと内部変動ノイズの比の問題に取り組み、近未来において温暖化シグナルが観測される可能性がどの程度あるかを調べる。
備考
英国ハドレーセンターのJohn Caesarより観測データの提供を受けている。また同センターのNikolaos Christidisと共同でモデル相互比較研究を行う。
課題代表者
塩竈 秀夫
- 地球システム領域
地球システムリスク解析研究室 - 室長(研究)
- 理学博士
- 地学,理学