平成16年度における環境配慮に関する取り組み状況
国立環境研究所は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全に関する調査及び研究を行うことにより、環境の保全に関する科学的知見を得、及び環境の保全に関する知識の普及を図ることを使命としている。
当研究所では、この使命のもと、自らの活動における環境配慮が良好な環境の保全と創出に寄与するための具体的な実践の場であるとの認識に基づき、環境配慮に関する取組を進めている。
平成16年度においては、「環境配慮促進法」の施行に向けて、環境報告書の作成のための準備に着手するとともに、環境管理委員会及び安全管理委員会などのこれまでに構築した所内環境管理体制を活かして、環境憲章に基づき、環境配慮に関する取組みの着実な実施を図った。(参考資料1)
以下、その概要について報告する。
1. 省エネルギー等の取組
省エネルギー等の計画的推進のため、「国立環境研究所省エネルギー等計画」に基づき、研究計画との調整を図りつつ大型実験施設の計画的休止及びエネルギー管理の細かな対応等に取り組んだ。また、夏期冷房の室温設定を28℃、冬期暖房の室温設定を19℃に維持することを目標とした。(参考資料2,3)
省エネ対策として、15年度に省エネ機器として導入した省エネ型ターボ冷凍機、大型ポンプのインバータ装置の性能を最大限に利用し省エネに取り組んだ。また、窓ガラスに断熱フィルムを貼る等の省エネ対策を講じた。さらに15,16年度に積算流量計(冷水・蒸気)を取り付けるとともにエネルギーの細かな管理に努めた。また、環境配慮の面から更なる省エネを進めるためのESCO事業の導入を図り、平成17年7月からのサービス開始とした。(参考資料4)
*ESCO(Energy Service Company)事業
工場やビル等の省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、それまでの環境を損なうことなく省エネルギーを実現し、さらには、その結果得られる省エネルギー効果を保証する事業
平成16年度における光熱水量の実績は、下表のとおりであった。
電気・ガスのエネルギー消費量は、上記の取組により改善が見られ、年間実績としては対12年度比・床面積当たりで11%の減少となった(計画目標は12年度比・床面積当たり90%以下)。
一方、上水使用量については、12年12月に一般実験廃水の再利用施設を整備し、13年度以降本格的に稼働したことにより、年々効果がみられ16年度には対12年度比・床面積当たりで32%の減少となり、計画の目標(12年度比・床面積当たり10%以上の削減)を大幅に上回る成果であった。
表1 エネルギー消費量及び上水使用量
年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
項目 | ||||||
電気・ガス使用料 | 電気 | 26,739 Mwh | 30,514 Mwh | 33,118 Mwh | 31,496 Mwh | 33,974 Mwh |
ガス | 3,826Km 3 | 4,689 Km 3 | 5,523 Km 3 | 4,735 Km 3 | 3,689 Km 3 | |
エネルギー消費量 | 電気 | 274,074 GJ | 312,768 GJ | 339,459 GJ | 322,834 GJ | 348,234 GJ |
ガス | 175,996 GJ | 215,694 GJ | 254,058 GJ | 217,810 GJ | 169,694 GJ | |
合計 | 450,070 GJ | 528,462 GJ | 593,517 GJ | 540,644 GJ | 517,928 GJ | |
床面積当りエネルギー消費量 (対12年度増減率) |
7.4379 GJ/m 2 (100%) |
7.3505 GJ/m 2 (98.8%) |
7.6448 GJ/m 2 (102.8%) |
6.9638 GJ/m 2 (93.6%) |
6,5904 GJ/m 2 (88.6%) |
|
上水使用量 | 148,054 m 3 | 155,992 m 3 | 157,807 m 3 | 147,112 m 3 | 131,692 m 3 | |
床面積当り上水使用量 (対12年度増減率) |
2.44 m 3 /m 2 (100%) |
2.16 m 3 /m 2 (88.5%) |
2.03 m 3 /m 2 (83.2%) |
1.89 m 3 /m 2 (77.5%) |
1.67 m 3 /m 2 (68.4%) |
|
(参考)延床面積 | 60,510 m 2 | 71,894 m 2 | 77,636 m 2 | 77,636 m 2 | 78.588 m 2 | |
新規稼働棟 | 地球温暖化研究棟、環境ホルモン研究棟 | 循環・廃棄物研究棟、 環境生物保存棟 |
タイムカプセル棟、 中動物棟(1122m 2 撤去) |
なお、研究所においては、平成14年7月に策定された地球温暖化対策推進法に基づく政府の温室効果ガス排出抑制等に関する実行計画(平成18年度までに対13年度比で総排出量の7%削減)を踏まえ対策の推進に努めており、 16年度の二酸化炭素排出量は、対13年度比・排出量では6%の減少、同・床面積当たりでは14%の減少であった。(参考資料5)
今後、温室効果ガスの排出抑制等に関する新たな「政府の実行計画」の措置として掲げられているESCO事業等の推進により、更なる排出削減を図りたい。
表2 CO2 排出量の推移
年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | |
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項目 | ||||||
CO 2 排出量 | 電気 | 8,556 t | 9,764 t | 10,597 t | 10,078 t | 10.872 t |
ガス | 9,048 t | 11,089 t | 13,061 t | 11,198 t | 8,724 t | |
その他 | 35 t | 35 t | 49 t | 58 t | 58 t | |
合計 | 17,639 t | 20,888 t | 23,707 t | 21,334 t | 19,654 t | |
対13年度増加率 | (100%) | (113.4%) | (102.1%) | (94.1%) | ||
床面積当りCO 2 排出量 (対13年度増減率) 注) |
0.29 t/m 2 | 0.29 t/m 2 (100%) |
0.30 t/m 2 (103.4%) |
0.27 t/m 2 (93.1%) |
0.25 t/m 2 (86.2%) |
|
(参考)延床面積 | 60,510 m 2 | 71,894 m 2 | 77,636 m 2 | 77,636 m 2 | 78,588 m 2 |
注. 増減率は、政府実行計画に準じて平成13年度を基準として示した。
2. 廃棄物・リサイクルの取組
廃棄物・リサイクルに関する基本方針及び実施方針」に基づき、廃棄物の分別収集を徹底するとともに、広報活動等による周知・啓発を図り、廃棄物の減量化及びリサイクルに努めた。(参考資料6) 廃棄物管理の充実を図るため、特に取扱いに注意を要する感染性廃棄物についての取扱要領及びPCBについての管理指針を策定した。今後、さらに実験系廃棄物の取扱要領等を再整備し、廃棄物管理に万全を期することとしている。 上記の実施方針に基づき、廃棄物等の発生量を日々計測し、集計整理した。平成16年度における廃棄物等の発生量は下表のとおりである。(参考資料7)
表3 廃棄物等の発生量
区分 | 平成15年度 | 平成16年度 | 備考 | |
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発生量 | 発生量 | |||
可燃物 | 76,056 kg | 80,600 kg | ||
実験廃液 | 14,477 リットル | 16,519 リットル | ||
循環資源 注1) | 廃プラスチック類 | 18,738 kg | 15,054 kg | |
ペットボトル | 1,217 kg | 1,664 kg | ||
アルミ缶 | 532 kg | 542 kg | ||
金属くず | 11,705 kg | 8,144 kg | ||
機器等 | 3,147 kg | 2,850 kg | ||
電池類 | 311 kg | 435 kg | ||
古紙 | 42,584 kg | 46,528 kg | ||
空き瓶 | 5,641 kg | 5,475 kg | ||
ガラスくず | 1,930 kg | 1,986 kg | ||
合計 注2) | 176,338 kg | 179,797 kg | 対前年度 102% | |
(参考) 研究所職員数 注3) | 1,007 人 | 1,006 人 | 対前年度 100% |
注1. 循環資源は、リサイクル専門の外部業者に全量を処理委託した。
注2. 合計の重量は、実験廃液を1(リットル)=1kgと仮定して計算した。
注3. 職員数は、通年で勤務している人数を勤務形態等から算定した数による。
3. 化学物質の適正管理
「化学物質のリスク管理に関する基本方針及び実施方針」に基づき、管理台帳システムに基づく化学物質管理を徹底するなど化学物質の合成、購入、保管、使用から廃棄に至るまでの適正な管理を推進した。(参考資料8)
「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下、PRTR法という。)に基づき、ダイオキシン類の環境排出量の届出を行うとともに、同法に基づく届出対象の基準に達しなかった化学物質についても、使用状況に関する所内調査により排出・移動量の見積りを自主的に行った。(参考資料9)
4. グリーン調達の実施
グリーン購入法に基づき、国立環境研究所として策定した「環境物品等の調達の推進を図るための方針」により、環境に配慮した物品及びサービスの調達を行った。(参考資料10)
5. 環境報告書の作成に向けた準備
「環境配慮促進法」が平成16年6月に公布されたことを受け、所内にその周知を図るとともに、関連資料の収集を開始した。平成17年3月には、政令により国立環境研究所は環境報告書を作成・公表する義務を負う「特定事業者」に位置付けられることとなったことから、平成17年度の事業活動に係る環境報告書の作成のための所内の準備体制を整えることなどの方向性を固めた。