イソシアネートに着目したプラスチック製品由来化学物質の曝露実態と健康有害性に関する研究
(令和4年度~令和6年度)
国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-153-2025
本報告書は、令和4~6年度3年間にわたって実施した所内公募型提案研究「イソシアネートに着目したプラスチック製品由来化学物質の曝露実態と健康有害性に関する研究」の研究成果をとりまとめたものです。
プラスチック関連化学物質の問題については、これまでに可塑剤のフタル酸エステル類や樹脂原料のビスフェノール類等が注目され、多くの研究によりそれらの曝露および有害性に関する知見は蓄積されてきました。一方、イソシアネートは、アレルギーの原因となる物質(感作性物質)であることから、これを主原料とするポリウレタンの製造・使用にかかわる職業性曝露で大きな問題となって以降、作業環境の改善からその健康被害は減少しましたが、一般環境における曝露状況は不明でした。ポリウレタンは、その優れた機能性から、マットレスやストレッチ素材の衣類、建材、自動車製品(シート他内装品や部品)の他、マイクロカプセルの膜材としての利用(消臭・芳香剤、殺虫剤、農薬、肥料等)などその用途は多岐にわたります。このようにポリウレタンを含有する製品は生活環境中に多数存在しており、イソシアネートの発生源となり得ると考えられます。具体的には、製品中未反応物としての残留や分解による放出、製品の劣化や摩擦により生じる微小な細片(二次マイクロプラスチック)や、ポリウレタンを膜材とするマイクロカプセル(一次マイクロプラスチック)を介した曝露が予想されます。以上より、我々は、ポリウレタン製品に由来するイソシアネートへの日常的な曝露が、アレルギーをはじめとする健康障害のリスクとなる可能性を考え、本研究に至りました。
本研究では、未だ十分な評価がなされていないイソシアネートの曝露実態と既報実験にはない連続的な複数経路曝露の影響も含めた科学的知見を提供すること、加えてマイクロプラスチックを介した曝露も想定した評価系を提案することを目指し取り組みました。その結果、各分析・解析手法を確立した上で、室内や自動車内における曝露状況の推定と経路別・複数経路曝露による健康有害性を提示することができました。また、これを事例に、新たな吸入曝露システムや曝露経路・形態を反映した評価体系を提案しました。本研究成果が、プラスチックおよび関連化学物質全般の新たな評価研究への展開に繋がることを期待しています。
最後に、本研究を進めるにあたり、研究所内外の多くの方々にご協力とご支援をいただきました。ここに深く感謝申し上げます。


