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2012年12月28日

胚様体を用いた発生分化毒性学に特化したマトリックスの開発(特別研究)
平成21~23年度

国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-102-2012

表紙
SR-102-2012 [10.3MB]

 安心・安全な社会の構築のために、環境化学物質ならびに環境有害因子に関して健康に対する迅速なリスク管理が求められています。ヒトの健康影響を反映するような培養細胞を利用した評価試験、いわゆる細胞アッセイの技術が必要であると議論されています。特に近年、動物及びヒトのES/iPS細胞である多能性細胞を用いて、種々の組織に分化誘導する研究が、世界中で活発に行われています。それらのうち、胚性幹(ES)細胞を用いた分化細胞を誘導するアッセイは、発生の過程全てを代表するものではありませんが、発生分化に対する健康影響を評価する試験として有力であると考えられています。本研究は、化学物質の発生毒性を評価するための細胞アッセイに最適化したマトリックスを開発することにより、細胞の分化誘導の過程を再現性良く制御した細胞アッセイの確立を目的に行いました。その結果、ES細胞を用いた健康リスク評価研究を行う上で重要な手法の開発や、有機ハロゲン化物質や内分泌攪乱化学物質に関する「初期曝露の晩発影響」における知見を得ることができました。ヒト胚様体を用いた細胞分化アッセイが順調に稼動していくならば、そこから得られた化学物質の量反応関係データを計算科学や情報工学的手法によって解析することにより、ヒトの曝露や生体影響を予測することが可能になります。このことが、次世代の化学物質の環境リスク管理に道を拓く事につながります。本研究報告書が、環境化学物質の生体影響を評価する上での新たな取り組みの一歩になれば幸いです。

(環境リスク研究センター 曽根 秀子)

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