ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

 受賞者氏名:高橋 潔
 受賞年月日:平成20年9月18日
 賞の名称:奨励賞 (社団法人 環境科学会)
 受賞対象:「気候変動により引き起こされる影響の予測と評価」

 受賞者からひとこと:
 このたび,社団法人環境科学会より,環境科学の研究分野において実績を挙げ,さらなる研究進展が期待される若手研究者に与えられる 「奨励賞」 を授与されました。受賞対象は 「気候変動により引き起こされる影響の予測と評価に関する研究」 となっておりますが,受賞理由には,IPCC第4次評価報告書への執筆者としての貢献,ならびに研究結果の国民へのアウトリーチ活動についても言及がありました。1996年の入所以降,継続的に実施してきた研究に加え,その間の国際的活動・社会的活動についても同時に評価頂いての表彰であり,大変有難く感じております。

 これまでは全球スケールを対象とした気候影響リスクの評価が,私自身の研究の中心位置を占めておりましたが,今回の受賞を励みにしつつ,今後はそのリスク軽減のための適応策まで踏み込んだ研究を本格化させていきたく考えております。


 受賞者氏名:谷本浩志, 猪俣 敏
 受賞年月日:平成20年6月4日
 賞の名称:平成20年度 (第35回) 環境賞優秀賞 (財団法人 日立環境財団,株式会社 日刊工業新聞社)
 受賞対象:「大気中揮発性有機化合物の多成分同時計測手法の開発」

 受賞者からひとこと:
 受賞対象となったのは,2004~2005年度の環境技術開発等推進費を得て二人で開始した大気中揮発性有機化合物の計測手法です。これは,大気中に存在する揮発性有機化合物を数十種類同時にリアルタイム計測できる手法で,陽子移動反応イオン化・飛行時間型質量分析計 (PTR-TOFMS) と呼びます。我々とほぼ同時期に英国のレスター大学とヨーク大学のグループも開発に着手し,論文化では残念ながら少し先を越されましたが,2006年1月に我々が報告した性能 (検出下限など) は当時世界最高性能でした。以降の研究成果は原著論文8本,特許2本 (申請中1本を含む) を数え,この分野の研究者と相互訪問・セミナーなどの交流が続いている他,レスター大学のグループとは共同研究が始まっています。大気化学・物理化学・地球科学の複合領域で世界の研究グループと最先端を競い合いながら切磋琢磨する仕事はタフながら充実感満載で,新たなアイデアを議論する毎日です。

(谷本)



 受賞者氏名:原 由香里
 受賞年月日:平成20年7月16日
 賞の名称:INABA Prize (The best paper presented at 24th International Laser Radar Conference)
 受賞対象:「3D Transport Structure of Asian Dust Retrieved by NASA CALIOP and a Dust Transport Model Assimilated with the NIES Lidar Network Data 」

 受賞者からひとこと:
 受賞の対象となった論文は,杉本伸夫 (国環研),鵜野伊津志 (九州大学) ,清水厚 (国環研),弓本桂也 (九州大学),各氏との共著です。今日,国環研による東アジア域でのライダーネットワーク自動連続観測の充実により,数値モデルの検証のみならずデータ同化が可能となり,エアロゾルに関しても観測とモデルを融合した研究が行われる時代となりました。更に,2006年4月に打ち上げられた衛星ライダーCALIPSOにより,定量的な観測データを得るのが非常に困難であった砂漠域や海上を含む全球の雲・エアロゾルの3次元分布が得られるようになりました。本研究はNIES地上ライダーデータを4次元データ同化に適用したモデルの結果と,CALIPSOデータによってダスト (黄砂) の3次元輸送構造を明らかにしたものです。このように宇宙・地上からの観測と数値モデルを融合させた研究を積み重ねることにより,ダストの基礎的,あるいは未だ明らかにされていない物理過程の理解が深まるものと考えます。