表彰
受賞者氏名 :谷本 浩志
表彰年月日 :平成19年9月20日
賞の名称 :奨励賞(日本地球化学会)
受賞対象 :「対流圏における光化学オゾンとその支配要因に関する地球化学的研究」に対して
受賞者からひとこと:
日本地球化学会から,地球化学の研究分野における若手研究者に対して与えられる奨励賞を授与されました。受賞の対象となった研究は,昨今日本においても問題が顕在化してきている対流圏オゾンの大気化学に関する基礎的研究です。具体的な内容は,対流圏オゾンの生成・消失に関する微量物質の測定器開発とそれを用いた野外観測,そして化学輸送モデルによる支配要因の解析です。これらは,私が2001年に入所して以降主に取り組んできた一連の研究で,自分で立案・遂行・論文化してきた成果が学会に認められたことは非常に嬉しく思います。大気化学は,地球科学のうちの大気圏における化学的側面を扱う学問です。大気汚染問題など地域・地球環境として重要な環境問題ももちろんその範疇ですが,そればかりではなく,今後は大気圏と海洋や生物圏との相互作用など地球システムとしての側面も重視して研究を展開していきたいと思っています。現在,海洋化学者や海洋生物学者などと共同して,海洋表層から大気中に放出される揮発性有機化合物に関する測定手法の開発を進めているところで,こういった未知の境界領域における新しい発見を楽しみに日々取り組んでいます。
受賞者氏名 : 一ノ瀬 俊明
表彰年月日 : 平成19年10月14日
賞の名称 : 優秀発表賞 (土木学会環境システム委員会)
受賞対象 : 優れた発表に対して 「都市内大規模河川 (ソウル市清渓川) の復元による大気環境改善」 (第34回環境システム研究論文発表会)
受賞者からひとこと:
一般に都市内を流れる河川は,周辺の都市構造物にくらべて表面温度が低く,河川が気温や風通しに影響を及ぼしているものと考えられます。このような都心の大規模河川空間復元がもたらす大気環境改善効果の定量化を目的に,2003年7月にはじまった清渓川(チョンゲチョン)復元工事(6kmに及ぶ高架道路の撤去を含む)について,工事終了(2005年10月)後の現在まで大気環境の総合的なモニタリングを実施し,清渓川の影響は河道より80m程度までは比較的明瞭であることが明らかになりました。2002年暮れに韓国側より共同研究の打診を受けてから,これまで15回ほどの渡航を通じ,観測を進めてまいりました。日韓の研究者同士の価値観の相違などから,研究以外のトラブルで振り回されたり,メンバーが離合集散したりと,一喜一憂の繰り返しでしたが,現場でのソウル市民の皆様の暖かい温情は決して忘れることができません。研究課題としてはまもなく終了しますが,これから研究成果を次々と発表するのみならず,本研究プロジェクトにまつわる5年間の喜怒哀楽を本にまとめ,日韓の新たな学術交流に貢献したいと考えております。
目次
- 環境問題に向き合うスタンス巻頭言
- 廃棄物の再生資源化をガス化で実現 −中核研究プロジェクト3「廃棄物系バイオマスのWin-Win型資源循環技術の開発」から−【シリーズ重点研究プログラム : 「循環型社会研究プログラム」から】
- 毒を貯める植物 −植物はなぜ重金属を貯めるのか?−【研究ノート】
- リサイクルの効果を考える【環境問題基礎知識】
- 南極レポート(第5回: 「昭和基地の廃棄物・汚水処理」)【海外調査研究日誌】
- 平成20年度国立環境研究所予算案の概要について
- 気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)・京都議定書第3回締約国会合(CMP3)参加報告
- 新刊紹介
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース26巻6号