編集後記
第11巻も最終号となった。今年度は昨年6月ブラジルで地球サミット「環境と開発に関する国連会議」が開かれた。人類が行ってきた経済、社会的活動、目指してきた生活様式そのものが地球温暖化、廃棄物問題など多くの環境問題を生じさせ、人類の生存の基盤を揺るがしつつあることを多くの国の人々が認識し、協力して対策に取り組む素地が造られた。現実は厳しいものがあり紆余曲折は避けられないとしても、環境保全型社会が人類の生存にとって重要だとの合意の形成の意義は大きいと考えられる。環境問題において新たな展開があった年度と言えるのではないだろうか。
人類が誕生してから今日まで行ってきたことを環境という因子を入れて洗い直すと随分異なった価値観が生まれて来るような気がする。人類の持っている特質に対する認識をさらに深めていくことが多様な環境問題の理解につながるのだろうと思う。この1年間環境研ニュースの査読を通して多種多様な環境問題に触れることができてよかったという思いがする。(T.K)
目次
- 環境科学研究と国際技術協力巻頭言
- 大気汚染による植物被害について —初期の研究から想うこと—論評
- 湖沼環境指標の開発と新たな湖沼環境問題の解明に関する研究プロジェクト研究の紹介
- 都市型環境騒音・大気汚染による環境ストレスと健康影響に関する環境保健研究プロジェクト研究の紹介
- 大気中ガス状有機物質のための高感度測定法の開発経常研究の紹介
- 人工環境下での植物の環境耐性反応及び生理生態機能の実験的解明経常研究の紹介
- 磁場型高分解能質量分析計を用いたICP−MSの開発について研究ノート
- 霧粒の大きさを測る研究ノート
- 平成5年度国立環境研究所予算案の概要について
- 「晴れときどき曇り、ところにより、にわか雨」海外からのたより
- 主要人事異動