越境大気汚染研究のあゆみ
国立環境研究所では20年以上にわたる越境大気汚染研究の実績がありますが、ここでは最近5年間の主要な研究について、そのあゆみを紹介します。
アジア域における人間活動による大気環境変動の将来予測
-将来化学気候図の作成-(2003~2006年度)*
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東アジアにおける2010年、2020年の排出シナリオを設定し、化学輸送モデルを使用して将来のオゾン濃度を予測しました。
アジアの大気環境評価手法の開発(2006~2010年度)
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アジア自然共生研究グループの中核プロジェクトとして、東アジア地域の広域越境汚染を対象に、大気汚染物質と黄砂の地上、航空機、ライダーネットワークなどの観測を行うとともに、化学輸送モデルと排出インベントリの改良を進め、観測とモデルの両面から大気汚染の構造や変化を解明する総合的な研究を進めています。
光化学オキシダントと粒子状物質等の汚染特性解明に関する研究
(2007~2009年度)
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国立環境研究所(アジア自然共生研究グループ、大気圏環境研究領域、環境情報センター)、全国の49地方環境研究機関、大学等の研究者(以上、2009年度時点)が参加する大規模な共同研究プロジェクトとして、光化学オキシダントの汚染特性解明に力点を置いて研究を進めています。
東アジア地域におけるオゾン・エアロゾルの長距離越境輸送に関する研究
サブテーマ2 観測データにもとづくアジア域エミッションインベントリの高度化(2008年度)**
東アジアにおける広域大気汚染の解明と温暖化対策との共便益を考慮した大気環境管理の推進に関する総合的研究(S-7)
テーマ2 東アジアにおける排出インベントリの高精度化と大気汚染物質削減シナリオの策定(2009年度~)**
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東アジアの大気環境管理を進めるために、衛星・地上観測データや排出実態データをもとにして大気汚染物質排出インベントリの高精度化を図るとともに、排出削減対策技術の導入と削減効果の評価、統合評価モデルAIMを使用した大気汚染物質削減シナリオの策定などを進めます。
九州北部地域における光化学越境大気汚染の実態解明のための前駆体観測とモデル解析(2008~2010年度)
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光化学オゾン前駆物質と二次生成粒子の観測とモデルの連携によって、東アジアから九州北部への光化学越境大気汚染の実態解明に取り組んでいます。
* は文部科学省科学研究補助金、** は環境省の地球環境研究総合推進費による。
これらの研究は以下のスタッフ・組織によって実施されてきました(所属は当時、敬称略)。
研究担当者
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アジア自然共生研究グループ大原利眞、谷本浩志、永島達也、森野悠、畠山史郎、高見昭憲、佐藤圭、清水厚、黒川純一、長谷川就一、片山学、早崎将光、稲吉繁一、井上忠雄、Hezhong Tian、藤田壮、田上浩孝
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大気圏環境研究領域杉本伸夫、松井一郎、菅田誠治、日暮明子、村野健太郎、猪俣敏
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化学環境研究領域横内陽子
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社会環境研究領域増井利彦
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環境研究基盤技術ラボラトリー西川雅高
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地球環境研究センター甲斐沼美紀子、白井知子、花岡達也
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環境情報センター宮下七重、坂下和恵
客員研究員
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若松伸司(愛媛大学)、山川和彦(島津製作所)、鵜野伊津志(九州大学応用力学研究所)、神成陽容
共同研究機関
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筑波大学、千葉大学、中部大学、金沢大学、奈良女子大学、愛媛大学、九州大学、日本環境衛生センター・酸性雨研究センター、海洋研究開発機構、電力中央研究所、地方環境研究機関、北京師範大学