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研究者に聞く!!

Interview

大原利眞の写真
大原利眞
アジア自然共生研究グループ広域大気モデリング研究室長

 光化学オキシダントが再び増加しています。光化学オキシダントの原因物質が日本では減少していることや、離島や山岳地域でも濃度が上昇していることなどから、大陸からの越境汚染によって光化学オキシダントの増加が引き起こされている可能性が強まっています。大気汚染研究に取り組んでおられる大原利眞さんに、東アジアからの越境汚染の構図、シミュレーション解析などについてうかがいました。

日本で光化学オキシダントが 再び増えている

1.大気汚染の研究は学生時代から

  • Q: まず、大原先生ご自身の研究経歴をうかがいたいのですが、国立環境研究所(国環研)にいらっしゃる前は何をなさっていましたか。
    大原: 静岡大学の工学部で5年間ほど教壇に立っていました。そこでやっていたのが、大気汚染のデータ解析とそのシミュレーションです。その前は財団法人計量計画研究所におり、そこでも同じように大気汚染についての仕事をしていました。
  • Q: 学生の頃から大気汚染が専門だったのですか。
    大原: そうです。大学入学が1972年ですが、その前年には環境庁ができ、学部3年の時には国立公害研究所ができました。全国でさまざまな公害問題が発生し、公害訴訟が起こっていた時代です。そのような中で、「公害解決に貢献したい」と一念発起して衛生工学科に進み、卒論で大気汚染にかかわる気象について研究しました。光化学オキシダントによる大気汚染は、その頃が一番ひどい時代で、東京の高校で光化学オキシダントによると思われる集団被害(いわゆる立正高校事件)が発生したのが1970年です。そのあと規制の強化によってあまり発生しなくなり、話題にならなくなった。ところが最近また問題になっている。時代によって状況が変化していますね。
  • Q: 静岡大学にいらっしゃるときから光化学オキシダントを研究されていたのですか。
    大原: そうです。日本で光化学オキシダント濃度が全国的に上昇しているという論文を書いたのが2003年だったと思います。それがきっかけです。
  • Q: 国環研での研究はどのように進めていますか。
    大原: 国環研では15の重要な研究プロジェクトが走っていますが、その1つに「アジアの大気環境評価手法の開発」というプロジェクトがあり、その中で仕事をしています。
  • Q: アジア地域を扱うとなると、海外の研究者とも一緒に仕事をすることになると思いますが、ご苦労されることはないでしょうか。
    大原: 一緒に研究して論文にするまでにはかなり時間がかかります。データがとれないとか、問題意識がかみ合わないといった問題もあります。おたがいに客観的な事実に基づいて物事を考えていますが、いろいろな制約がありますので、思っていることをそのまま論文にして発表できるかというとそういうわけでもない。そのあたりがとても難しいところですね。

2:日本における光化学オキシダントの上昇と越境汚染の影響

  • Q:ところで、日本で光化学オキシダントが増えているそうですが、どういう状況でしょうか。
    大原: 全国の地方自治体や環境省が大気汚染の常時測定をしているのですが、その結果を解析すると、光化学スモッグの原因である光化学オキシダント(Ox)濃度の年平均値は全国各地で上昇している傾向が見られます。光化学オキシダントのほとんどはオゾンですが、その原因物質は主に2つあります。1つは窒素酸化物(NOx)、もう1つは揮発性有機化合物(VOC)です。大気中のNOxとVOCは太陽光線を受け光化学反応を起こしてオゾンを発生します。NOxだけが存在する場合には生成されるオゾンは少ないのですが、VOCが加わると一種の触媒として作用するため高濃度のオゾンが生成されます。NOxとVOCはどちらも規制が強化され、近年は減少傾向にあります(図1)。
図1 全国の大気汚染測定局における年平均濃度の経年変化
  • Q:それらの物質はどんなところから排出されるものでしょうか。
    大原: NOxは、固定発生源といいまして火力発電所や工場などからが半分、残りの半分は移動発生源といっていますが、自動車や船舶です。人間活動で発生するVOCは、塗装・印刷過程や石油類を使った時に蒸発する割合が半分以上で、残りは燃料燃焼によるものです。
  • Q:これらの物質は、日本ではいつ頃から規制されてきたのでしょうか。
    大原: 規制が本格的に始まったのは1970年代です。大気汚染が非常にひどい状態であったために、1968年に大気汚染防止法が制定され、本格的な対策が始まりました。
  • Q:原因物質が減っているのに、光化学オキシダントは増えているわけですね。
    大原: 一番特徴的なのは、光化学オキシダント注意報が発令される都府県の数が増えてきていることです。これは、汚染の広域化を意味しています。一般的に、光化学オキシダント濃度が120ppbを超えると注意報が出されます。2007年5月、高濃度の光化学オキシダントが発生することの少なかった九州の広い範囲で光化学オキシダント注意報が発令され、さらに翌日になると日本全国に広がったことから、大きな社会問題になりました。
  • Q:日本では原因になる物質は減っているけれども、汚染のほうは進んでいる。そこで、光化学オキシダントがよそから来ているのではないかという推測が成り立つわけですね。
    大原: 光化学オキシダントは全国的に増えているので、少なくとも日本全体にかかわるような現象でないと説明がつかない。また、オゾンは、アジアや北半球の広い範囲でも増加していますので、多かれ少なかれ、国外から影響を受けていると考えるのが自然です。それから、原因物質が減っているのにそれからできる物質が増えているというのは、国内だけを見ていてもなかなか説明できない。この点からも、よそからの影響を考えざるを得ません。さらに、日本海にある離島や中部山岳などの空気がきれいなところでも、オゾン濃度が増えていることも、国外からの影響の可能性が高いことを示唆していると思います。
  • Q:いま中国やインドがすごい勢いで経済発展をしています。それとの関連性についてはいかがですか。
    大原: 特に日本への影響が大きいと考えられるのは中国です。インドでも大気汚染物質の排出量は増えていますが、日本への影響は大きくはありません。中国の大気汚染物質の排出量はものすごく増えています。私たちの推計結果によると、中国から出る大気汚染物質は、1980年から2003年までの約25年間で、NOxは約4倍に増えています。VOCも2~3倍増えていると思われます。
  • Q:原因物質の増加傾向を衛星観測データで検証しているということですが。
    大原: NOxの成分である二酸化窒素(NO2)を人工衛星で観測した結果と、私達が推計したNOx排出量の結果は、どちらも同じように急激に増加しています。
  • Q:そういうデータからも越境汚染の推測が成り立つわけですね。
    大原: 日本全国で光化学オキシダントがじわじわと増えていることに関しては、非常にその可能性が高いわけです。ただ、東京など大都市周辺では夏季に、高濃度の光化学オキシダントが発生しやすくなっていますが、これについては越境大気汚染だけで説明がつくとは考えておりません。
図2 光化学オキシダントの越境汚染の概念図

3: アジア大陸からの越境汚染は春に起こりやすい

  • Q: 2007年に九州で発生した光化学オキシダントの高濃度現象のシミュレーション解析についてご説明ください。
    大原: 5月7日に中国の沿岸で高濃度のオゾンが発生しました。そのオゾンが、東シナ海にあった移動性高気圧の北側の西風に乗って、日本列島の方に運ばれてきました。8日に九州地方で高濃度オゾンが発生し、さらに9日にはそれが広域化して、北日本を除く日本全体でオゾン濃度が高くなった。そういったシミュレーション結果が観測結果とよく合っていました。
  • Q: 日本で光化学オキシダントが広域的に高くなる場合、このようなパターンが多いのでしょうか。
    大原: それはケース・バイ・ケースだと思いますが、春に移動性高気圧が東シナ海にあるケースでは、こういうパターンになりやすいと考えられます。私が把握している限りでは、2006年以降は毎年、4月から5月に同様な現象が発生しています。今年(2009年)も5月8日~12日に5日間連続で各地で光化学オキシダント注意報が発令されましたが、この高濃度現象も越境汚染の影響が大きかったと考えています。5月8日~9日には、鹿児島県で初めて注意報が発令されるなど、九州地方において広域的な光化学オキシダント濃度の上昇が見られましたが、気象条件や汚染のパターンがちょうど2年前の同じ日の現象と似ていて驚いていたところです。

  • Q: 季節的な要因はあるのでしょうか。
    大原: 春や夏は、気温が高く太陽の光も強いので、光化学反応が活発になり、たくさんオゾンが発生します。もう1つの重要なポイントは風の流れです。春は大陸から日本に風が吹きやすい。一方、夏は大気の流れが南よりになり、オゾン濃度の低い海洋性気団の影響が強くなりますので、日本のオゾン濃度が平均的に下がります。秋は春と同じような風が吹きますが、太陽の光は弱いので、オゾンの濃度は春ほどは上がりません。冬は大陸から風が吹いてきますが、太陽の光が非常に弱く気温も低いので、オゾン濃度は高くなりません。
  • Q: 高濃度のオゾンは春に発生しやすいのですか。
    大原: 越境汚染という意味では春です。ただし大都市周辺では、その地域でつくられるオゾンの影響が大きいので、光化学反応が活発になる夏に光化学オキシダント注意報が多く発令されます。
  • Q: 地表近くのオゾンの影響としてはどんなものがあるのでしょうか。
    大原: 大きな影響は3つあります。1つは人間の健康への影響です。2つ目は森林や農作物に対する影響です(写真下参照)。たとえば中国の米の収穫量がオゾンによって20~30%減っているという研究結果があります。3つ目は二酸化炭素やメタンなどとともに、地球温暖化の原因物質になるということです。
オゾンによるタバコの葉の被害の写真
オゾンによるタバコの葉の被害。長崎県壱岐島で2008年5月1日に撮影。提供:河野智謙(北九州市立大学)。
当時のオゾン濃度のデータから、壱岐島では4月下旬に越境光化学オゾンの影響があった。オゾン影響の指標となるタバコの葉の遺伝子の発現から、オゾン被害であると推定されている。
  • Q: 国環研は地方の環境研究所との共同研究に積極的に取り組んでおり、光化学オキシダントについても研究が進んでいます。そのねらいはどこにあるのでしょうか。
    大原: ポイントは2つあると思います。まず、国環研だけで研究していると、どうしても現地のことがわかりません。環境問題というのは、問題が起こっているところで研究すると、状況がわかり理解が進むことがよくあります。そういった意味では、地元の環境研究所と一緒に仕事をするのは大事なことです。2つ目は、各地の大気汚染測定データが必要だということです。そのデータを使って、日本全国で解析することで新たな知見が生まれてくる可能性があります。現在、光化学オキシダント以外に、もう1つの重要な大気汚染である微小粒子の研究も同時に進めています。微小粒子は、非常に小さな大気中の粒子で、健康に与える影響が懸念されるため、粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)に対する環境基準の検討を環境省が始めていますが、この汚染実態はまだよくわかっていません。
2009年5月8日、佐賀県では唐津市などで光化学スモッグ注意報が発令された際の写真
2009年5月8日、佐賀県では唐津市などで光化学スモッグ注意報が発令された。唐津城(中央)もかすんでいる。(午後3時半すぎ撮影)

4.アジアの大気汚染は全地球の環境問題

  • Q: 地球環境全体を考えた場合、アジアの汚染問題は非常に大きなテーマですね。
    大原: 衛星の観測結果でも示されていますが、オゾンの原因物質であるNOxについて見てみると、世界で発生が多い地域はヨーロッパと北アメリカの東海岸、それと東アジアです。そのうちヨーロッパでは排出量が経年的に減っており、北アメリカの排出量もほぼ横ばいか減っています。しかし、東アジアだけがダントツに増えているのです。これからの世界の大気環境を考えると、東アジアでの大気汚染の増加をいかに抑えるかが非常に重要なポイントになっていると思います。
  • Q: アジアから排出されたNOxは世界中に広がっていくものなのでしょうか。
    大原: NOxとして世界中に広がっていくということではありません。NOx自体は寿命が短いので、すぐになくなってしまいます。ところが、それからできるオゾンは長生きするのです。発生源や地表面の影響が小さい場合には、寿命は1週間から1カ月ぐらいと考えられています。それぐらいの寿命があると、北半球に広がります。したがって、東アジアだけの問題ではなく、地球環境問題としてとらえる必要があります。
  • Q: オゾン以外に、越境してくる汚染物質はあるのでしょうか。
    大原: 寿命の短い大気汚染物質を除き、多くの物質は越境しているといえるでしょう。いま、日本では光化学オキシダント(オゾン)が注目されていますが、世界的には、微小粒子や酸性物質、有害化学物質、重金属などが重要な越境汚染物質と考えられています。現在、わが国で環境基準の導入が検討されているPM2.5は、国外からもやってくるし、自然界でも発生しますので、日本国内の対策を一生懸命やっても減らせる量に限界があると思われます。その意味でも、越境汚染問題を研究し解決する必要があります。
  • Q: 今後の研究の方向としてはどのようなことをお考えですか。
    大原: まだ、科学的にわかっていないことがたくさんあります。たとえば,越境大気汚染といっても、国内の大気汚染に対し、各国からの寄与率がどのくらいあるのか、きちんと評価しなければなりません。そのためには観測も必要ですし、モデル解析も必要です。同時に排出量の推計精度を上げる必要があると思います。これらの研究手法を3点セットとして研究を進めることが必要です。それともう1つ、科学的知見を得るだけでなく、できるだけすみやかに政策や対策に結びつけなければならないと思っています。
  • Q: 中国や韓国の研究者との連携はどうでしょうか。
    大原: 個々の共同研究はやっていますが、全体的にはまだ弱いのが現状です。難しさはありますが、共同研究を強めていく必要があると思います。
  • Q: 最後に、今後の抱負をうかがいたいと思います。
    大原: 先ほども申しましたが、越境汚染に関しては、まだ科学的にわかっていないことが多々ありますので、そういった点を明らかにしていきたいと思っています。汚染の寄与率を正確に評価したり、今後の対策を検討しようとする場合に必要なことの1つは、大気汚染の排出量が最近どのように変化しているかを知ることです。アジアの各国は急速な経済成長をしてきましたが、世界的な金融危機の影響で、その成長が鈍っています。一方、各国では、最近、いろいろな対策が実施されつつあります。こういった複雑な状況の中で、大気汚染の排出量がどうなっているのかを、モデルや衛星データなどを組み合わせて把握したいと思っています。それから、対策に結びつけるために、将来、アジアの大気汚染がどうなりそうかを予測することが大事です。地球温暖化問題との関係で、将来、CO2排出量がどうなるのかというシナリオ研究が国際的にたくさん行われています。そうしたシナリオ研究と整合する大気汚染のシナリオを描いて、それをもとにアジアの大気汚染がどうなるのか予測し、温暖化対策との相乗効果があるような対策を提案するといった研究もしたいと思っています。これらの研究については、環境省・地球環境研究総合推進費の戦略課題(S-7)として今年度から始めることになりました。

コラム

  • 光化学オキシダント、窒素酸化物、非メタン炭化水素の年平均濃度の経年変化
     全国の大気汚染測定局で測定された光化学オキシダント(Ox)、窒素酸化物(NOx)、非メタン炭化水素(NMHC)の年平均濃度の経年変化を示します。光化学オキシダントの濃度は1985~2004年度の20年間に約0.25ppb/年(1%/年)の割合で増加しています。しかしながら、その原因物質である窒素酸化物と非メタン炭化水素の濃度は、発生源規制等により経年的に減少しています。原因物質が減っているのに、なぜ光化学オキシダントは増加しているのか?その原因はさまざま考えられますが、大気汚染物質の排出量が急増しているアジア大陸からの越境汚染が大きな要因になっていると考えられます。
  • オゾンとVOC
    オゾン: オゾンは、3個の酸素原子からなるガス状物質で、化学式では「O3」とあらわされる。一方、「オキシダント」は大気中の酸化性物質の総称で、これらから二酸化窒素を除いた物質が「光化学オキシダント」とよばれる。光化学オキシダントの主要成分はオゾンであり、他にPAN(パーオキシアセチルナイトレート)などが含まれる。日本では光化学オキシダントによって環境基準が定められており、全国の大気汚染測定局でもオゾンでなく光化学オキシダントとして測定されている。

    VOC: VOCはさまざまな有機成分の総称であり、成分によって光化学反応性が非常に異なる。たとえば、メタンは大量に存在するが反応性は非常に低いため、オゾン生成を考える場合には、メタンを除いたVOC(非メタンVOC:NMVOC)として扱うことが多い。ここでは、NMVOCを簡単にVOCとあらわした。一方、炭化水素(HC)は炭素原子と水素原子の化合物であり、アルデヒドなどの含酸素化合物は含まないことを除けば、VOCに近い混合物と考えることができる。日本の大気汚染測定局では、非メタン炭化水素(NMHC)が測定されている。
  • 2007年5月に発生した光化学オキシダントの高濃度現象
     大気汚染のシミュレーションモデルを用いて、2007年5月に日本の広い地域で発生した光化学オキシダントの高濃度現象の様子を再現しました(図3)。その結果、東シナ海に位置する高気圧の北側の西風で、中国東岸から流れ出した汚染気塊が、朝鮮半島南部を経て、九州北部から東日本の広い範囲に高濃度のオゾン域を形成する様子が計算されました。このシミュレーション結果は、全国で観測された光化学オキシダント濃度分布の特徴とよく一致します(図4)。
図3 シミュレーションモデルで計算されたオゾン濃度 (クリックで拡大画像がポップアップします)
図3 シミュレーションモデルで計算されたオゾン濃度(高度500m以下の平均)。
図中の矢印は、地上風の強さと方向を示す。
図4 全国の大気汚染測定局で測定された光化学オキシダント濃度(速報値) (クリックで拡大画像がポップアップします)
図4 全国の大気汚染測定局で測定された光化学オキシダント濃度(速報値)。
図中の矢羽根は、地上風の強さと方向を示す。
  • 国環研と地方環境研究所との共同研究:
    「光化学オキシダントと粒子状物質等の汚染特性解明に関する研究」
     国環研は地方環境研究所との共同研究制度をつくり、共同研究を積極的に進めています。その中でも本研究は、49の地方環境研究機関と9名の大学等の研究者が参加する大規模な共同研究プロジェクトとして、2007年度から3年間の予定で研究を進めているものです。

     光化学オキシダント(Ox)は全国的に増加傾向にあり、春から夏にかけて、多くの自治体において、これまで観測されたことがないような高濃度エピソードが多く報告され、早急に高濃度発生原因を解明し、有効な対策を講じる必要があります。一方、粒子状物質については自動車排ガス規制等により改善傾向にありますが、光化学Oxと同様に大気中で光化学反応によって生成される二次粒子の増加と広域化、微小粒子PM2.5の健康影響などから、光化学Oxとともに引き続き重要な汚染物質になっています。

     そこで本研究は、全国の地方自治体で測定された大気環境時間値データを過去にさかのぼって収集してデータベースとして整備し、このデータを全メンバーが協力して解析することにより、光化学Oxと粒子状物質等の汚染特性や発生原因を、地域と広域の両視点から解明し、その成果を地方自治体や国の大気汚染対策に活用することを目指して研究を進めています。具体的には、ボトムアップ型の研究スタイルを重視して、全メンバーによる基礎解析、メンバーの自主的な発想に基づく応用解析、国環研の広域解析と解析ツール開発を組み合わせることにより、これまでに多くの論文発表や学会発表を行っています。