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干潟・浅海域 - 生物による水質浄化に関する研究

環境儀 NO.3

木幡邦男
生物による水質浄化機能の定量的な評価はこれからの浅海域環境の価値を問う重要な評価軸となります。

 高度経済成長時代以降,干潟・藻場など海辺の浅瀬(浅海域)は,開発されてこそ価値が生まれるという認識から,埋立て・干拓が行われてきました。しかし近年,公共事業の見直しとともに,これらの開発の必要性に疑問が示され,また浅海域の環境保全上での価値が重要視され,その保全を求める声が高まっています。東京湾に残された数少ない浅海域である三番瀬の埋立てを伴う計画が白紙に戻されたことは,その典型的な例です。

 国立環境研究所では,平成8年度から10年度にかけて特別研究「海域保全のための浅海域における物質循環と水質浄化に関する研究」プロジェクトを実施し,三番瀬を中心として,水質浄化や物質循環の定量的評価の研究を行いました。その後も日本各地の干潟・浅海域の研究に取り組んでいます。本号では,三番瀬に生息する二枚貝が水質浄化に果たす役割の研究を中心に取り上げました。