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ホーム > 刊行物 > 国立環境研究所ニュース > 15巻 > 3号 (1996年8月発行) > in  vivo  と  in  vitro

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環境問題豆知識
in  vivo  と  in  vitro
持立  克身

図  In Vivo 実験と In Vitro 実験の模式図

環境汚染物質による健康影響を評価するため現在広く行われている実験手段として,図のような in vivo 暴露実験と in vitro 暴露実験があります。

前者では,主にネズミ等の実験動物を,暴露チェンバーと呼ばれる大きな容器に入れてジーゼル排ガス等の大気汚染物質を吸わせたり,あるいは重金属や有機塩素化合物等を直接または食餌に混ぜて動物に投与します。この結果,動物の各臓器が傷害を受けて壊死したりあるいは機能が低下しないか,あるいは癌化しないか調べて毒性を評価します。

後者の in vitro 実験では,動物から取り出した細胞をプラスチック容器中で培養した状態で,有害大気汚染ガスに曝したり,あるいは培養液中に環境汚染物質を添加して投与します。その結果を,細胞が壊死しないか,形態や機能が変化しないか,あるいは細胞が癌化すると作られる蛋白が出現しないか調べて毒性を評価します。

私達の体を構成する各臓器は,内分泌や自律神経支配によって,互いに関連し合って機能を果たしています。環境汚染物質によって特定の臓器が傷害を受けると,他の臓器も間接的に影響を受けることが予想されます。in vivo 実験では,環境汚染物質の影響が全身に及んだ結果を調べることができます。しかし,その過程を詳細に検討するには難しい面もあり,ガス暴露実験には多額の設備が必要です。その点 in vitro 実験では,標的臓器の細胞や組織に毒性が発現する過程を明らかにできる利点があり,大がかりな暴露装置を必要としません。しかし,動物から取り出し in vitro で培養された細胞は,ともすると本来の形態や機能が変質する傾向にあります。このため,環境汚染物質の毒性評価には,両方の実験が適宜選択されて行われます。

人間の生産と消費活動が活発になるに伴い,種々の化学物質による環境汚染もまた低濃度ではあっても広範囲に広がり,私達の健康を脅かしています。このため,ごく低濃度汚染による軽微な傷害も検出できるように,in vitro 実験の簡便性や迅速性を生かしながら in vivo 実験のように細胞本来の形質が発現した状態で,in vitro 実験ができる培養方法の開発が望まれます。

(もちたて  かつみ,環境健康部生体機能研究室)


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