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自然環境の資産と負債の経済分析(令和 7年度)
Economic analysis of natural assets and liabilities

研究課題コード
2527CD020
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
持続可能性指標,負債,富の会計,自然資本,国民経済計算
キーワード(英語)
Indicator of sustainability,Liabilities,Wealth accounting,Natural capital,National accounting

研究概要

自然環境が資産として認識され、カーボンバジェットやネイチャーポジティブなどの世界的な政策目標が掲げられるようになるにつれて、過去・現在・将来のCO2排出や自然資本の減耗を負債として捉えることも一般的になった。本研究では、これらの負債を、厚生経済理論におけるウェルビーイングの改善や会計学の概念と整合的に分析する。自然環境に関する負債の概念整理を行った上で、過去・現在・将来のCO2排出や自然資本の減耗を、国や世界のフローとしての負債と捉え、持続可能性指標に統合する。さらに、ストックとしての負債を計上し、資産と合わせて、国や世界のバランスシート(貸借対照表)のサンプルを作成する。資産と負債を整合的に捉えることで、持続可能性や政策目標の達成状況への示唆とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

1)負債の概念整理:気候変動と自然環境に関する負債を定義する。その際、参照水準の設定、負債の主体と客体(誰が何に対して、何を負い、何を返さなければならないのか)、フローとストック、発生時点(過去、現在、将来)、経済の最適・非最適、といった観点で整理する。

2)フローとしての負債の計上:1)に基づいて、フローとしての負債の計上を検討する。気候変動や自然資本を対象に、ウェルビーイングの変化と整合的な各国の持続可能性指標を導出する。具体的には、汚染の被害ベースと汚染者負担の原則(PPP)とを比較し、過去や現在や将来に国が排出する(した)温室効果ガスや減耗させる(させた)自然資本の負の影響を、排出国が毎期返済(被害を受ける国に補償)したときに、各国の持続可能性はどのような影響を受けるのかを検討する。

3)ストックとしての負債の計上と国や世界のバランスシート(貸借対照表)の検討:過去、現在、未来に国や世界が排出する(した)温室効果ガスや減耗させる(させた)自然資本を、ストックの負債としてどのように計上すべきかを検討する。資産としての人工資本、人的資本、自然資本を貸方と合わせて、国と世界のバランスシート(貸借対照表)の簡単なサンプルを作成する。

今年度の研究概要

今年度は、フローとしての負債の計上について検討する。具体的には、ウェルビーイングの変化と整合的な持続可能性指標を導出する際、資本の変化の価値とは別に、将来のGHG排出経路における費用と便益の割引現在価値を計上するが、それが負債にどう関係するかを検討する。
また、汚染者負担の原則(PPP)に基づいて、過去や現在や将来に国が排出する(した)温室効果ガスや減耗させる(させた)自然資本の負の影響を、排出国が毎期返済(被害を受ける国に補償)したときに、各国の持続可能性はどのような影響を受けるのかを検討する。

外部との連携

オスロ大学、サセックス大学、ロンドンスクールオブエコノミクス

課題代表者

山口 臨太郎

  • 社会システム領域
    経済・政策研究室
  • 主任研究員
  • 博士(経済学)
  • 経済学
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