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タイヤ粒子の流出過程における劣化挙動及び添加剤溶出の実態把握と環境負荷量評価(令和 7年度)
なし

研究課題コード
2527CD017
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
タイヤ路面摩耗粉塵,タイヤ添加剤,流出動態
キーワード(英語)
Tire and road wear particles,Tire additives,Process of release into water bodies

研究概要

本研究では、タイヤ粒子の発生源から河川及び海洋流出までの過程に着目し、紫外線照射試験や水理実験を行うことによりタイヤ粒子の劣化及び微細化、それに伴う含有添加剤の溶出挙動を再現する。さらに環境試料についても分析を行うことで、微細化物と添加剤の環境中運命の実態を把握し、これらの実験や環境試料分析から得られたタイヤ粒子の粒径分布や含有添加剤の溶出に関するパラメータを汚濁流出解析モデルに反映させることにより、タイヤ粒子及び添加剤について流出挙動のシミュレーションを行い、降雨時における環境負荷量を明らかにする。これに加え、生態リスク評価についても試み、タイヤ粒子のリスク管理の必要性を考察する。
具体的な研究目標として以下の(1)-(3)を設定した。
(1) 分流式下水道を経た流出過程を想定し、実験的手法によりタイヤ粒子の劣化及び微細化挙動を把握する。さらに環境試料(発生源試料、集水桝内堆積物、集水桝外流出水など)の採取及び分析も行うことで、タイヤ粒子の存在実態についても調査する。
(2) 実験的手法により劣化及び微細化に伴う含有添加剤の溶出と環境中変換の挙動を明らかにする。これに加え、環境試料の採取及び分析も行うことで、6PPD及び6PPD-Qといったタイヤ添加剤関連物質の存在実態についても調査する。
(3) 目標(1), (2)で得られた結果を汚濁流出解析モデルに落とし込み、タイヤ粒子と含有添加剤について環境負荷量及び生態リスクを評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

2025年度:目標(1),(2)については、タイヤ粒子と雨水における添加剤の含有量及び存在量の定量分析手法の予備知識について学習する。さらに環境試料採取の計画・実施を進め、この分析結果のほか、以降の目標(3)で選定する汚濁流出解析モデルソフトウェアの内容、既往研究を参考として、タイヤ粒子の劣化・溶出実験の計画を作成する。目標(3)については、タイヤ粒子及び添加剤の汚濁流出解析について文献調査を行い、解析対象地域やソフトウェアを決定する。ソフトウェアにあたっては、タイヤ粒子の粒径分布やそれに伴う添加剤の溶出挙動の変動を組み込むことのできるものを選定し、ソフトウェア上においてモデルに反映可能な汚濁物質に関するパラメータを整理する。
2026年度:目標(1), (2)について、紫外線照射実験及び水理実験を実施し、タイヤ粒子と雨水における添加剤の含有量及び溶出量の定量分析を行う。この分析に当たっては、タイヤ含有添加剤のノンターゲット分析及びターゲット分析の技術習得のほか、実験で取得したサンプルの分析のために、2~3か月程度の国内外への短期留学を計画している。
2027年度:目標(3)について、これまでに得られた実験及び環境試料分析の結果データから汚濁物質挙動に関するパラメータを作成し、これを汚濁流出解析モデルに反映させることで、タイヤ粒子及び添加剤について降雨時における環境負荷量や生態リスクについて評価を行う。また、環境試料の分析結果は、モデル解析結果の妥当性の検証にも活用する予定である。

今年度の研究概要

目標(1),(2)については、タイヤ粒子と雨水における添加剤の含有量及び存在量の定量分析手法の予備知識について学習し、タイヤ粒子については分析手法を習得する。さらに、タイヤ粒子発生源試料(道路塵埃もしくは道路排水)、集水桝内堆積物、集水桝外への流出水を対象として、試料採取の計画・実施を進める。これらの試料の分析結果から得られる粒径分布等のデータのほか、以降の目標(3)で選定する汚濁流出解析モデルに必要なパラメータ、既往研究を参考として、タイヤ粒子の劣化・溶出実験の計画(模擬雨水の調製、取得データ項目の整理、装置の作製や実験手順など)を作成する。目標(3)については、タイヤ粒子及び添加剤の汚濁流出解析について文献調査を行い、解析対象地域やソフトウェアを決定する。ソフトウェアにあたっては、タイヤ粒子の粒径分布やそれに伴う添加剤の溶出挙動の変動を組み込むことのできるものを選定し、ソフトウェア上においてモデルに反映可能な汚濁物質に関するパラメータを整理する。また、モデル構築に必要なデータについて整理を行い、入手可能なものからデータの収集を進める。

関連する研究課題

課題代表者

山本 可那子

  • 資源循環領域
    資源循環基盤技術研究室
  • JSPS特別研究員
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