- 研究課題コード
- 2527CD016
- 開始/終了年度
- 2025~2027年
- キーワード(日本語)
- 気候変動影響,サンゴ,環境ストレス
- キーワード(英語)
- climate change impact,coral,environmental stress
研究概要
サンゴ礁生態系は「海の熱帯雨林」と呼ばれ、豊かな生物多様性を育み、また炭素循環への貢献や島嶼地形の形成など、重要な生態学的・社会的価値を有する。しかし、産業革命以降の急激な環境変化がこの重要な生態系を脅かしている。サンゴは、初夏の特定の水温と月光の条件の下で卵と精子を一斉に放出する「同調産卵」により生殖を行う。ところが、放出された卵と精子は海表面で受精・発生するため、温暖化による高水温ストレス、夜間の人工照明による月光の攪乱、頻発する豪雨による表面海水の塩分濃度低下などの新たな環境ストレスによって、深刻な影響を受けている可能性が高い。これらの新たな脅威は、サンゴの生殖を妨げ、世界的なサンゴ礁生態系の衰退を引き起こしていると考えられる。そこで本研究は、これらの「人新世」に生じた新しい環境ストレスがサンゴの生殖活動にどのような影響を与えているのかを明らかにし、サンゴの生殖阻害とサンゴ群集の衰退との関連を浮き彫りにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
代表者らによる水槽実験の結果データに対し統計モデリングを行い、高温・光害・低塩分の3つの環境ストレスによるサンゴの生殖阻害(配偶子形成・同調産卵・受精発生)についての包括的理解を目指す。これらのストレス影響を確率分布で表現し、ストレスの組み合わせ毎の積算効果を推定するシミュレーションを行う。
今年度の研究概要
代表者らによる水槽実験の結果データに対して必要な統計モデリング手法を確認し、予備データを用いた試行解析を実施する。
外部との連携
研究代表者:野澤 洋耕・琉球大学熱帯生物圏研究センター・教授
研究分担者:磯村 尚子・沖縄工業高等専門学校・生物資源工学科・教授
課題代表者
熊谷 直喜
- 気候変動適応センター
気候変動影響観測研究室 - 主任研究員
- 博士(理学)
- 生物学,理学