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沿岸生態系の熱帯化と社会利用の変化に伴う多様な群集シフトの生態学的帰結(令和 7年度)
Ecological consequences of coastal community shift under tropicalization and changes in fishery use

研究課題コード
2528CD007
開始/終了年度
2025~2028年
キーワード(日本語)
気候変動影響,群集シフト,サンゴ,海藻
キーワード(英語)
climate change impact,community shift,coral,macroalgae

研究概要

温帯の沿岸生態系は海藻藻場が基盤を構成し、極めて高い生態学的・社会経済的な価値を有してきたが、世界的な気候変動や食害など地域的要因により衰退傾向にある。近年、藻場の代わりに造礁サンゴ群集が増大することが注目されているが、サンゴ以外にもソフトコーラルやイソギンチャク、カイメン、ウニやナマコ等の棘皮動物が優占する状態への多様な群集シフトが生じることが知られ始めている。これらの生物群集への群集シフトが進行すると、生態学的機能や沿岸利用における価値は藻場やサンゴ群集より劣化すると予想される。そこで本課題は、それらの群集シフトが実際にどれくらい起こっているか、また群集シフトの成立に影響する環境的・生物学的・社会的な条件、生態学的・社会的価値などを解明し、各群集タイプの成立条件や指標種の特定、生態系機能の推定、および将来の群集シフトの予測を行う。得られる成果は、熱帯化する沿岸生態系において生物多様性および生態系機能の予測・保持するための気候変動適応策に役立てられる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

佐田岬半島から土佐清水までの、直線距離約 100 kmの範囲を対象地域とし、4 年間の計画で実施する。研究対象生物の海藻やサンゴ、ソフトコーラル、イソギンチャク、カイメン、ウニ、ナマコ、魚類についての野外調査については、実施に適した時期が限られ、また各年の生物出現状況が異なることから毎年に行う。生物調査以外については、1 年度目に環境データと文献記録の収集。2 年度目はデータ・記録の整備を行い、各データの傾向とメカニズムを捉える解析を行う。3 年度目は全体を統合解析するためのモデル開発により気候変動避難地の特定を行う。4 年度目は補完的な調査を実施しつつ統合モデルを用いて将来予測・適応策提案を行う。

今年度の研究概要

研究対象生物の海藻やサンゴ、ソフトコーラル、イソギンチャク、カイメン、ウニ、ナマコ、魚類についての野外調査を初夏を中心に実施する。また過去からの分布推移を再現するため、対象生物の生息文献記録の収集を行う。

外部との連携

目崎拓真・(公財)黒潮生物研究所・所長
中島祐一・(国研)水産研究・教育機構 水産技術研究所・主任研究員

課題代表者

熊谷 直喜

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,理学
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