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タイヤ摩耗粉塵の河川・海洋流出量の精緻な推計と、それに基づく生態リスクの評価と低減に係る研究(令和 7年度)
Study on Emission, Fate, Ecological Risk Assessment and Mitigation of Tire Wear Particles and Their Associated Additives

予算区分
1-2502
研究課題コード
2526BA001
開始/終了年度
2025~2026年
キーワード(日本語)
タイヤ,タイヤ路面摩耗粉塵,マイクロプラスチック
キーワード(英語)
Tire,Tyre and Road Wear Particles,Microplastic

研究概要

タイヤ摩耗粉塵は環境中に流出するマイクロプラスチックの5割近くを占めるとされ、その削減は急務である。本研究は、タイヤ摩耗粉塵の環境流出・生態リスクを含む環境負荷の効率的かつ効果的な低減対策を提示することを目的として、タイヤ粉塵の流出量の精緻な推計、環境中運命予測、曝露評価、毒性評価を実施し、以上の結果を統合してタイヤ粉塵および添加剤由来化合物の生態リスクを評価する。これらの目標を達成するために3つのサブテーマを立て、相互に連携して本課題を遂行する。サブ1ではモニタリング対象の道路および地域での交通量情報に基づくタイヤ粉塵の発生量を推計する。サブ2で、これらの地点を対象に路面排水の集水枡、排水の流入河川〜河口部でタイヤ粉塵およびタイヤ添加剤由来化合物をモニタリングする。また、当該地域の下水処理場から汚泥を採取し、汚泥中のタイヤ粉塵を測定する。以上の結果から、タイヤ粉塵の発生量に対する水圏環境への移行割合を把握し、曝露を評価するとともに、集水枡や下水処理場による流出量削減効果について検証する。本調査は降雪量の多い地域でも実施し、冬用タイヤの環境負荷も明らかにする。これと並行して、サブ1で市販の夏用および冬用タイヤから摩耗粉を調製し、サブ3で毒性評価に用いる。毒性試験にはモデル生物に加え、底質に堆積するタイヤ粉塵に曝露されうる底生生物も対象とする。また、マイクロコズムを用いた微生物群集を対象にした試験で、細菌類や原生動物への影響も評価する。タイヤ粉塵から溶出する化学物質はサブ2で解析し、タイヤの添加剤とその変化物を含め、有害性に寄与する化合物を絞りこみ、環境中での挙動を把握する。得られた結果を統合し、生態リスクを評価する。本研究は、タイヤ摩耗粉塵の環境中挙動と生態リスクを把握し、雨水管理システムによる流出量削減効果を検証するとともに、タイヤの生態リスクを管理して持続的な使用を可能とするものである。
 国立環境研究所は、愛媛大学と産業技術総合研究所と共に、サブ2「タイヤ粉塵および添加剤由来化合物の環境モニタリング」を担当する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

サブ2では、タイヤ摩耗粉塵および添加剤由来化合物のモニタリングを実施し、タイヤおよび関連物質の環境中挙動と発生・流出のマスバランスを理解するために、以下の項目を達成する。
・タイヤ摩耗粉塵の分析法の最適化および添加剤由来化合物の分析法を構築し、タイヤの包括的な環境モニタリング体制を確立する。
・路面排水および排水の流入河川においてモニタリングを実施し、タイヤ粉塵および添加剤由来化合物の存在量を把握し、水圏への移行割合を提示する。
・発生量推計値(サブ1)をもとに、集水枡や下水処理場などの雨水管理システムにおけるタイヤ摩耗粉塵の回収量を明らかにし、流出低減効果を定量的に示す。
・冬用タイヤの使用が多い地域におけるタイヤ粉塵および添加剤由来化合物の汚染を明らかにし、雪国における特徴を示す。

今年度の研究概要

タイヤ摩耗粉塵の分析法の最適化および添加剤由来化合物の分析法を構築し、タイヤの包括的な環境モニタリング体制を確立する。また、タイヤ摩耗粉塵を対象として、路面排水・排水の流入河川におけるモニタリング及び集水桝・下水処理場の除去効果の評価に着手する。

外部との連携

愛媛大学沿岸環境科学研究センター、産業技術総合研究所地質調査総合センター、富山県立大学、鹿児島大学、日本自動車研究所、タイヤ産業プロジェクト、株式会社ブリヂストン

関連する研究課題

課題代表者

鈴木 剛

  • 資源循環領域
    資源循環基盤技術研究室
  • 室長(研究)
  • 農学博士
  • 生化学,化学
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担当者