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都市と周辺の水資源影響評価(令和 7年度)
Impact Assessment of Water Resources in Cities and Surrounding Areas

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) S2-11-2-2
研究課題コード
2325BA106
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
気候変動,都市,水資源
キーワード(英語)
Climate change,City,water resources

研究概要

本研究では国立環境研究所を中心に開発され、東京工業大学を中心に高解像度化の作業が行われている全球水資源モデルH08を利用し、全球5分でのシミュレーションを実施し、世界の主要都市の水需給バランスとその将来変化について解析を行うことを目的とする。実施にあたり、気候変動に伴う水資源量の年々変動や季節変動、社会経済変化に伴う水利用量の変化、表流水・地下水・海水淡水化等、都市の主要な水源の特徴も考慮する。こうして得られた情報や技術は、TNFD, SBTN, CDP-Water等いわゆるESG投資への対応を迫られる産業界にも有益と考えられる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

本研究は以下の5つの内容から構成される。第1に、全球水資源モデルH08を用いて全球5分・日単位の解像度で過去から将来にわたる全球水資源のシミュレーションを行う。このために必要な全球気象データと河川網やダム等の主要水資源インフラを含む地理データを整備する。また将来シナリオを設定し、整備する。第2に、解析精度向上ならびに研究目標達成のため、水需給関連情報の整備を行う。具体的には、解析対象とすべき世界の大都市の特定、それらの水源・水利用情報の整備、その上流・周辺地域の水管理・水利用情報の整備からなる。第3に、都市レベルでの水需給バランスを評価するための各種アルゴリズム開発を行う。具体的には、全球5分の高解像度のデジタル地図上で都市域を定義するアルゴリズム、表流水の水源の現地データが得られないときに取水点を推定するアルゴリズム、都市の将来の需要を推定するアルゴリズムの3つを重点的に開発する。第4に、都市レベルの水需給分析を行う。まず都市並びに周辺での水需給分析のための指標の選定と開発を行う。これまでにも多数の水需給を表す指標が開発されてきたが、本研究で重要となる季節変動・年々変動・水利施設といった要素をすべて含んだ指標はないため、適切に組み合わせ、不足すれば新たに開発する。続いて、全球シミュレーションの出力から指標を計算し、都市ごとに水需給の余裕やひっ迫に関する分析を行う。さらに、将来の水需要や節水技術など、特に不確実な要素に対しては感度実験を行う。第5に上記の結果を踏まえ都市と周辺の水資源影響評価を行う。評価は都市と周辺に分けて行い、強靭性と持続可能性の観点に着目する。また、適応策に関する提言を行う。

今年度の研究概要

令和7年度は前年までの成果を踏まえ、感度実験を実施する。水資源のシミュレーションには多数の不確実要素があり、設定やパラメータを一つに絞り込むことは容易ではない。よって、不確実性が特に高い、あるいは感度が特に高いと考えられる事項について感度実験を行う。次に、過去から将来にわたり、都市域の水需要が満たされるか、評価を行う。同様に、都市域周辺の水需要が満たされるかについても評価を行う。これらの結果を踏まえて課題の抽出と適応策の提言を行う。

外部との連携

東京工業大学との共同研究である。

課題代表者

花崎 直太

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響評価研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 土木工学
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担当者