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光化学オキシダント等の有効な対策に向けた新たなデータ解析と効果的な大気環境モニタリングの探索
(令和 7年度)
Exploring new data analysis and effective monitoring of atmospheric environment aiming at successful strategies on photochemical oxidants

予算区分
AH 地環研共同(I型・II型)
研究課題コード
2527AH002
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
光化学オキシダント,PM2.5,常時監視,数値解析,行政支援
キーワード(英語)
Photochemical oxidant,PM2.5,Continuous monitoring,Numerical analysis,Support for administration

研究概要

光化学オキシダント(以下Ox)の環境基準達成率は依然として低い状態にある。PM2.5の環境基準達成率は100%近くに達しているものの、世界保健機関(WHO)はより低いガイドライン値を提示している。大気汚染物質による影響を評価するために、行政による大気環境モニタリングを継続させることが重要である。しかしながら、それには多大な労力と費用が必要となっており、これまでのモニタリング結果から言えることを総括した上で、より効果的なモニタリングを探索することが求められている。
そこで本研究では、前期(2022〜2024年度)までに取り組んできたモニタリングデータの解析を発展させ、OxやPM2.5をはじめとする大気汚染物質濃度の経年変化や高濃度に対する発生源の影響を明らかにする。また、前期で新たに実施し目処が立った統計的解析に本格的に取り組み、要因解析や濃度分布の導出を行う。さらに、大気質シミュレーションの実行環境を整備した上で、解析に役立てる。これらの実施内容から、Ox等の有効な対策に向けた、より効果的なモニタリングを実現するための新たな知見を得る。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

地環研の参加機関が主体的に解析を行う。国環研は解析への助言や補助、解析ツールの提供、シミュレーション環境の整備を担当する。複数のグループを設定し、リーダーを中心に研究を遂行する。参加機関は少なくとも1つのグループに参加するものとする。定期的にリーダー会合を開催し、全体方針の周知と各グループ間の調整を図る。実施内容は次の通り。

(1) モニタリングデータの包括的解析
常時監視やPM2.5成分分析、前期までの独自観測に加え、環境省自動測定、有害大気汚染物質モニタリング、PRTR、排出インベントリなどのデータ、さらには大気質シミュレーションを組み合わせた包括的な解析を行い、経年変化や高濃度の要因を明らかにする。また、高濃度時に影響の大きい発生源を明らかにするとともに、注意報発令地域の妥当性を検証する。

(2) 統計モデルを用いたOxの濃度変動要因解析
前期の実施内容を発展させ、平均的なOx濃度に対する気象要因の影響を一般化線形モデルで表現できるようにする。また、高濃度に注目した他の統計解析や気象要因のクラスター化なども試みる。これらを通して、各地域におけるOx濃度変動要因の説明性を高める。

(3) 大気汚染常時監視ネットワークの適正化
前期で取り組んだ実測値ベースの統計的手法や機械学習などの予測手法を発展させ、大気汚染物質の空間濃度分布を予測し、政策の意思決定に活用する手法の検討を行う。また、その方法論を可能な限り一般化することも試みる。これらを通して、地域分類や測定局配置の変更の際の評価基準設定につながる知見を得る。

上記の研究を進めるにあたっては、研究成果を行政に役立てられるように、適宜環境省や地方自治体の行政担当者と情報交換を行うとともに、積極的な発信に努める。

今年度の研究概要

全体会議を開催し、グループを構築する。参加機関は参加するグループを決定する。グループ毎に会議を開催し、詳細な実施計画と役割分担を決定する。計画と役割にそって研究を遂行する。

外部との連携

地方独立行政法人北海道立総合研究機構産業技術環境研究本部エネルギー・環境・地質研究所、岩手県環境保健研究センター、宮城県保健環境センター、山形県環境科学研究センター、新潟県保健環境科学研究所、札幌市衛生研究所、仙台市衛生研究所、茨城県霞ケ浦環境科学センター、群馬県衛生環境研究所、埼玉県環境科学国際センター、千葉県環境研究センター、公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所、山梨県衛生環境研究所、長野県環境保全研究所、静岡県環境衛生科学研究所、富山県環境科学センター、石川県保健環境センター、福井県衛生環境研究センター、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター、京都府保健環境研究所、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、公益財団法人ひょうご環境創造協会兵庫県環境研究センター、奈良県景観・環境総合センター、名古屋市環境科学調査センター、大阪市立環境科学研究センター、島根県保健環境科学研究所、広島県立総合技術研究所保健環境センター、山口県環境保健センター、徳島県立保健製薬環境センター、愛媛県立衛生環境研究所、高知県衛生環境研究所、福岡県保健環境研究所、佐賀県環境センター、熊本県保健環境科学研究所、大分県衛生環境研究センター、鹿児島県環境保健センター、沖縄県衛生環境研究所、福岡市保健環境研究所

関連する研究課題

課題代表者

茶谷 聡

  • 地域環境保全領域
    大気モデリング研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(理学)
  • 工学,理学
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