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森林の階層構造にもとづく林床クロロフィル蛍光による群落鉛直光合成評価(令和 7年度)
Development of the vertical assessment for canopy photosynthesis with chlorophyll fluorescence in understory based on forest stratifications

予算区分
学術変革領域研究(A)公募
研究課題コード
2425CD001
開始/終了年度
2024~2025年
キーワード(日本語)
クロロフィル蛍光,パルス変調法,林床,近接リモートセンシング
キーワード(英語)
chlorophyll fluorescence,pulse amplitude modulation,understory,short-range remote sensing

研究概要

森林の光合成機能を調べることは、地球規模の炭素の循環を把握するために必要である。しかし森林下層部に生育している植物群(林床)の機能について十分に評価できているとは言えない。そこで光合成速度に応答する指標として、新たに開発している林床における太陽光誘起クロロフィル蛍光SIF検出法と、個葉の最大蛍光収率測定とを組み合わせることで、近接リモートセンシング技術による林冠と林床の光合成機能の季節変化を調べる。そこから衛星データ解析による広域的な林床寄与を求める手法をさぐる。陸域の炭素循環における森林構造の複雑さのもつ意味について理解を深めることを目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

森林において下層部に生育している植物群(林床)の光合成機能の重要性について明らかにするため、本研究において光合成に関して遠隔観測できる物理量の鉛直的な解析アプローチを開発する。
1:太陽光誘起クロロフィル蛍光SIFの鉛直的な定量法を評価するため、落葉針葉樹・落葉広葉樹森林サイトにおける多層分光放射測定データにフラウンホーファー線深度法を適用して層別SIFを導出し、森林2地点の応答を比較し解析する。
2:林床植物の光合成の生理的応答を理解するため、個葉における最大蛍光収率などの連続測定による実証およびプロセス研究を行う。
3:広域評価のための地上と衛星データを組み合わせた林床SIF導出手法を開発する。

今年度の研究概要

落葉広葉樹林および落葉針葉樹林サイトにおける鉛直多層蛍光観測を昨年度から継続して、データを取得する。林床の光合成機能に影響を及ぼす要因について確かめる。落葉針葉樹林サイトでは林床ガス交換過程の参照データを得ることができる予定である。この参照データと、本研究の林床におけるパルス変調法PAMによる最大蛍光収率と太陽光誘起クロロフィル蛍光SIFの連続観測データから光合成パラメータの時間変動を解析し、結果をまとめる予定である。また落葉広葉樹林サイトではササ個葉ガス交換の測定を実施しデータ解析も進め、ササ林床における植物生理学的な葉群光合成モデルの作成を試みる。この葉群光合成と蛍光とを組み合わせて鉛直多層における光合成寄与を評価していく。

外部との連携

科研費課題としての共同研究の分担者なし。
協力:北海道大学、海洋研究開発機構。
高山試験地における課題は、岐阜大学の協力のもと研究を行う。

課題代表者

両角 友喜

  • 地球システム領域
    衛星観測センター
  • 特別研究員
  • 博士(環境科学)
  • 地学,農学,理学
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