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直接電子伝達を活用する超高効率メタン発酵廃水処理技術の開発(令和 7年度)
Development of highly efficient methanogenic wastewater treatment technology utilizing direct electron transfer

研究課題コード
2528CD001
開始/終了年度
2025~2028年
キーワード(日本語)
メタン発酵,直接電子伝達
キーワード(英語)
Methane fermentation,Direct interspecies electron transfer

研究概要

本研究では、異種間水素伝達により分解が進行し、メタン発酵系で反応律速となるプロピオン酸、アセトンなどの中間代謝物をDIET(Direct Interspecies Electron Transfer)反応によって分解する細菌群を集積化し、それらの同定・単離と代謝経路の解析を行うと共に、DIET反応を促進するための導電性材料の選定、電気化学的デバイスの活用試験を行う。導電性材料や電気化学的なデバイスを活用した新規のバイオリアクターの開発と運転条件の最適化、DIET反応に関与する細菌群の生物膜内での空間分布などの挙動解析を実施する。これらを統合的かつ補完的に組み合わせた解析・開発を行うことでメタン発酵能力や安定性を大幅に向上可能な超高効率メタン発酵廃水処理技術を開発する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

1〜2年目
1.導電性材料用いるDIET 細菌の集積化
(1) プロピオン酸、アセトン等を基質とする嫌気集積培養試験を実施し、電導性材料の添加がDIETの促進に及ぼす影響の評価を行い、導電性材料の添加によるDIETの促進効果の評価、適切な導電性材料の選定を行う。
(2) プロピオン酸、アセトンの分解速度の向上が確認された系について、代謝経路の特定を行う。超並列DNAシーケンシングによりDIETに関わる細菌群とメタン生成細菌の同定を行う。DIET反応によりプロピオン酸、アセトンを分解し得る細菌の単離を行い、表現形質レベルでの特性の把握、単離菌の全ゲノム解析や、対照系での比較発現解析(RNA-seq)を実施する。
2〜4年目
2.導電性材料を活用した連続メタン発酵処理試験
(1) 研究1.で選定した導電性材料およびDIET集積培養体を添加し、UASB型の装置を用いて連続廃水処理試験を実施する。処理水質の評価に加え、グラニュール汚泥の粒子径、沈降性に代表される物理性状も合わせて評価する。
(2) 廃水の有機物濃度や容積負荷を変動条件下で性能評価を行って中間代謝物の蓄積の様相を把握し、DIETの効果を検証する。また、グラニュール汚泥のFISH法や電子顕微鏡(SEM)による観察を行う事で電子生成を行う発電細菌(DIET細菌)、メタン生成細菌の空間的な分布や導電性材料への付着状況を把握する。
3〜4年目
3.DIET現象を能動的に活用した超効率メタン発酵リアクターの開発
(1) 1. 2.で得られた結果から、嫌気性汚泥床と微生物電解槽(MEC)と融合させた新規のメタン発酵リアクターを構築する。開発したリアクターを用いた連続廃水処理を行い、DIET反応の効果を検証する。さらにDIET反応を効率的かつ、継続的に維持可能な装置構造を検討する。
(2) 保持汚泥については、2.(1)と同様にDIET効果の検証、細菌相解析、汚泥の物理性状の把握を実施し、装置構造、運転条件(回路への印加条件など)の最適化を図る。さらに、最終段階では実産業廃水(プロピオン酸、アセトンが蓄積し易い糖蜜系バイオ燃料製造廃液および、電子産業廃水)を用いた性能評価試験も実施し、実用化に向けた知見の収集を行う。

今年度の研究概要

本年度は、以下の研究を行う。
1)導電性材料を担体としたプロピオン酸、アセトンを基質とするDIET細菌の集積化を行う。
2)アセトンの分解に関わる細菌の希釈培養と単離を行う。
3)超並列DNAシーケンシング技術などを利用し集積汚泥の細菌群集構造を解析する。

外部との連携

新潟薬科大学

課題代表者

珠坪 一晃

  • 地域環境保全領域
  • 領域長
  • 博士(工学) エネルギー・環境工学
  • 工学,土木工学,生物学
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担当者