- 研究課題コード
- 2427CD006
- 開始/終了年度
- 2024~2027年
- キーワード(日本語)
- 有機ハロゲン化合物,生物アーカイブ試料,精密質量,ノンターゲット分析
- キーワード(英語)
- organohalogen compounds,biological archived samples,accurate mass,non-target analysis
研究概要
天然起源有機ハロゲン化合物(HNPs)は、人為起源有機ハロゲン化合物と同様の毒性を持つ物質もあるものの、国際条約等で規制されていないため、環境試料を測定したデータは非常に少ない。本研究では、日本の主な沿岸域を網羅し、20年超にわたって体系的に採取・保存されてきた生物アーカイブ試料(二枚貝)を最新の環境試料ノンターゲット分析法を用いて測定する。従来監視されてきた人為起源有機ハロゲン化合物だけでなく、HNPsをも探索し、それらを包括的に解析することで、日本沿岸海洋環境における有機ハロゲン化合物の汚染実態を解明し、時空間的分布を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
日本沿岸域に存在するHNPsの種類、濃度レベルと地理的分布、濃度の経時変化を明らかにすると共に、従来の人為起源有機ハロゲン化合物との比較解析を行うことで、有機ハロゲン化合物の過去から現在までの汚染実態を包括的に明らかにする。そのため、まずHNPsを含む幅広い化学物質の網羅的探索に適した二枚貝試料の抽出・前処理方法の検討を行う。次に、二枚貝の認証標準物質を用いて手法の評価を行った後、二枚貝試料のノンターゲット分析を行い「HNPsと推定される物質」「有機ハロゲン化合物である可能性が高い物質」を探索する。その後、同定されたHNPsと従来の人為起源有機ハロゲン化合物について、ターゲット分析を実施する。その際、市販の標準物質が入手可能なHNPsについては標準物質を用い、それ以外の物質は、構造が類似した既知の有機ハロゲン化合物の検量線を外装することにより、信頼性の高い半定量を行う。
今年度の研究概要
今年度は手法の構築を目的とし、二枚貝試料の前処理方法の条件検討を行う。具体的には、二枚貝から有機ハロゲン化合物を抽出するための高速溶媒抽出の条件検討、タンパク質等高分子の除去のためのゲル浸透クロマトグラフィーやクリーンナップ(シリカゲルカラム・フロリジルカラム処理)手法の評価を行う。加えて、GC-HRToFMSによるターゲット分析手法構築のため、標準物質を用いた測定条件の最適化を行う。
- 関連する研究課題
- : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 基盤計測業務(ウ知的研究基盤整備)
課題代表者
家田 曜世
- 環境リスク・健康領域
環境標準研究室 - 主任研究員
- 博士(理学)
- 化学