- 予算区分
- 推進費
- 研究課題コード
- 2224BA010
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- 廃棄物,エネルギー回収,化学コンビナート,カーボンニュートラル
- キーワード(英語)
- waste,energy recovery,chemical complex,carbon neutral
研究概要
プラスチックを含む有機系廃棄物を特性別に地域及び広域で、環境と経済の両面で効率的に利用するレジリエントなシステムを提案・評価し、社会実装への準備を行う。想定するシステムを以下に示す。国内に15カ所の石化コンビナートが存在し、製造プロセスに大量の熱(蒸気)を消費している。今後プラ製容器包装のバイオマス化や紙化の進展も念頭に、材料及びケミカルリサイクルが困難な低品位廃棄物を焼却して蒸気を供給する。
各自治体は、耐用年数を迎える焼却施設に代えて選別・中継施設を整備し、材料リサイクル好適プラ、食品廃棄物と、石化コンビナート向け循環燃料に分別する。低品位な廃プラの事前選別で、材料リサイクルの効率化や高品質化も期待される。食品廃棄物は地域条件に合わせて、ガス化、肥料化、生物乾燥燃料化等から適切な方法を選択し、地域で循環利用する。燃料は選別のみで簡易に製造し、全国で5〜6カ所の石化コンビナートに新設する大型焼却施設(最終的には数千トン/日規模)に集積して燃焼し、製造プロセスへの蒸気供給を想定する。バイオマスプラやケミカルリサイクルも蒸気が必要で、これを低炭素に供給する。焼却施設から一部回収するCO2は、プラスチック用原料としてコンビナートで炭素循環させることも視野に検討する。産業廃棄物では、RPF(固形燃料)としての利用も困難な、塩素分や含水率の高い廃棄物を優先対象にして、産廃全体の利用効率の底上げも図る。
焼却施設の大幅削減で固定施設が減少し、再生可能電力普及の影響緩和、容器包装の紙化にも対応可能なレジリエントなシステムとなる。実現に向け以下のサブテーマで検討する。
・カーボンニュートラルなプラスチック循環経済を支える技術と評価
・自治体の廃棄物処理システムの転換方策の検討
・石化コンビナート向け循環型燃料の長距離・高効率輸送の検討
・有機系資源の循環経済の将来シナリオに関する検討
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:政策研究
全体計画
資源循環分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、プラスチックを含む有機系廃棄物の処理・リサイクルの仕組みを、カーボンニュートラルに適したものに転換するとともに、化学産業の製造工程の大幅なCO2排出削減が可能な、セクター横断的なシステムを提示し、その費用対効果及び便益の評価を行って導入の可否を判断する。システムの構成要素となる選別や蒸気供給(サブテーマ1)、輸送の各プロセスのモデル化(サブテーマ3)を行うと共に、大都市や地方都市など、異なる条件の自治体や産廃事業者を対象としたケーススタディを実施する(サブテーマ3)。プロセスモデルとケーススタディに基づいて全国規模でのCO2排出削減ポテンシャルや費用対便益を推計する(サブテーマ1)。その際、将来の有機系素材(プラスチック、紙、木材)の使用や資源循環に関するシナリオ分析を行って、発生する廃棄物の変化を踏まえたシステム分析となるようにする(サブテーマ4)。
各サブテーマの成果を併せた検討により、個別地域での焼却処理への依存度が大きなこれまでのリサイクル・処理の仕組みから、少子高齢化等に伴う社会の変化にも柔軟に対応し得る、廃棄物と地域の特性に最適化された、有機系資源のカーボンニュートラルの実現と社会コストの低減にも繋がる新たな地域循環共生圏の姿を提示する。加えて、システムの社会実装に向けて、化学メーカー、自治体、処理業者等と協力して、実現に向けて課題を整理した上で、ロードマップを提示する。
今年度の研究概要
サブテーマ1では、自治体のシステム変更や広域輸送、将来シナリオ等に関する他のサブテーマの成果
を総合して、提案システムの全国でのCO2 削減効果や費用対便益の将来推計を行う。サブテーマ2では、分別回収・選別・処理モデルによる脱炭素性及び経済性の評価、全国規模での脱炭素性・経済性のポテンシャルの検討及び自治体処理システムの転換に係るロードマップの作成と課題の整理を行う。サブテーマ3では、初年度、2 年目の成果をもとに、モデルを展開する形で設定(6 か所想定)して輸送費用を試算する。最終成果物のとりまとめを行う。サブテーマ4では、将来の有機系素材の生産、利用、ストック、排出、循環利用に関わるシナリオを提示するとともに、提案するシステムが素材利用に与える影響を考察する。
外部との連携
日本環境衛生センター、日本通運株式会社、株式会社グーン、EX都市研究所、名古屋大学、立命館大学