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深部流体に起源を持つ西南日本の土壌・地下水の水銀汚染の発生機構(令和 6年度)
Mechanism of soil and groundwater mercury contamination derived from deep-fluids in Southwest Japan

研究課題コード
2225CD006
開始/終了年度
2022~2025年
キーワード(日本語)
水銀,同位体分析,土壌・地下水汚染
キーワード(英語)
Mercury,Isotope Analysis,Soil and groundwater contamination

研究概要

本研究では、1)大阪平野と和歌山県を中心とする近畿地方中・南部と四国を対象として、土壌・地下水中の水銀濃度の分布図を作成し、地質構造、特にフィリピン海プレート上面の深度や活断層と水銀分布との関係を検討し、2)水銀安定同位体比を用いて、沈み込むプレートからの脱水やマントルからの付加など、地表に現れる水銀の起源を推定する。これらのことから、天然由来で非火山性の土壌・地下水汚染の原因の一部を特定でき、また、深部流体の地表への放出地点を追跡するプロキシとして利用できることが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究で実施する内容とその進行状況は以下のとおりである。1)土壌試料は、大阪平野周辺部の活断層を横断する側線と、紀伊半島と四国の
全域から採取する。大気からの降下物の寄与と土壌中微生物活動の影響を最小にするために、リター下のC層(風化母岩とその生成物を主体とする土壌)を採取する。試料の水銀濃度分析装置(日本インスツルメンツ MA-3000, 本研究計画で購入)で濃度分析を実施する。2)土壌中水銀の起源には、母岩由来のものとのちに付加されたものが考えられる。本研究で探索する水銀は後者のうち、地下深部のテクトニクスに伴う熱水活動に由来するものである。一方、研究対象地域には中新世の火成活動に伴う水銀・硫化物鉱床が多く存在する。母岩中の鉱石由来成分を分離して熱水活動による成分の寄与を見積もるためには、水銀の形態分析と安定同位体比を用いた起源推定が有効である。3)得られた成果は順次学会などで発表すると同時に論文化を進める。

今年度の研究概要

1)6月末ごろまでに土壌試料の濃度分析を完了させる。試料採取はほぼ終了しているため、分析が終了できれば、濃度マップを完成させる。
2)水銀の形態分析を行う。分析は気体状水銀と水銀硫化物の存在を確認することが主な作業である。水銀鉱床と熱水地帯近傍および活断層近傍の高濃度の水銀を検出した試料を選択して、水銀気化温度からその形態を確認する。
3)形態分析を行ったのと同じ試料を用いて総水銀の安定同位体比を分析する。試料を加熱して帰化した水銀を過マンガン酸カリウム−硫酸溶液に捕集して保存する。これを還元気化させてMC-ICP-MSに導入し、安定同位体比を分析する。
上述の作業のうち、濃度・形態分析と水銀安定同位体比分析の前処理は大阪公立大学で行う。消耗品費は分析前処理の試薬類や標準資料の購入に、この作業を行う人の雇用のために謝金を用いる。また、安定同位体比分析は国立環境研究所が担当する。分担金の一部はMC-ICPMSの消耗品(アルゴンガス代など)のために用いる。

外部との連携

研究代表者:大阪公立大学 都市科学・防災研究センター・益田晴恵(客員教授)

備考

2024年度から研究分担者として参加

関連する研究課題
  • : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
  • : 基盤計測業務(ウ知的研究基盤整備)

課題代表者

山川 茜

  • 環境リスク・健康領域
    環境標準研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 地学
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