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気候変動下の気候シナリオ開発における統計的ダウンスケーリングの適用限界(令和 6年度)
transferability of statistical downscaling methods for development of climate scenario under climate change.

研究課題コード
2426CD010
開始/終了年度
2024~2026年
キーワード(日本語)
統計的ダウンスケーリング,適用限界,機械学習
キーワード(英語)
statistical downscaling,transferability,machine learning

研究概要

気候予測の結果を地域詳細化する方法として、人工知能を含む統計的手法が近年注目されるようになっているが、過去期間で構築された統計関係が異なる気候に適用できるかどうかは十分に検証されていない。本研究では、高い空間解像度で実施された力学的DSの結果を正解として、様々な統計的DSが将来気候における気温や降水量、風速の特徴を捉えることができるのかどうかを調査する。また、それらが全球昇温量に応じてどの程度変化するのかを調べ、各統計的DSデータの適切な利用範囲を示す。これにより、今後の統計的DS開発における手法検証の指針を示すことが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では、気象研究所の全球大気モデルMRI-AGCMとそれに基づく力学的ダウンスケーリングデータであるNHRCM02の結果を用いて、2つの観点から統計モデルの構築を行い、それに基づきモデルの適用可能性(transferability)を調査する。1つは現在気候におけるMRI-AGCMとNHRCM02の関係からモデルを構築する方法、もう1つはMRI-AGCMの現在気候実験と将来実験の関係からモデルを構築する方法である。
令和6年度はCDFDM法、アナログ法を使った上記2種類のモデルを構築し、空間解像度2kmの気候データを作成する。導入を予定しているストレージを使ってデータ開発の基盤を構築する。
令和7年度にはそれらの統計DSデータの比較・検証を実施すると同時に、統計的DSの手法として重回帰法、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク等を追加し、機械学習による方法を拡張する。対象とする気象変数は、日最高・日最低気温、降水量、風速である。これらの要素について、NHRCM02の結果と統計的手法による結果を比較し、平均、標準偏差、分位数、季節進行、地点間の相関係数の違いや類似性をまとめ、昇温量の違い(RCP2.6とRCP8.5)との間でその特性に違いが見られるかどうかに着目する。統計的手法の一部は研究協力者の協力のもと導入・実施する。
令和8年度には、MRI-AGCMとNHRCM02の違い(力学的DSによる付加価値)が統計的手法によって表現されているかどうかや、気候因子の選択による違いを評価する。比較のため、CGCMとしてMIROC6を選択し、擬似温暖化実験による力学的DS実験を行い、統計的手法の適用可能性が、比較的バイアスの大きいCGCMに適用した場合に適用できるかどうか、結果の頑健性を確認する。
これらの様々な相互比較の結果から、各統計手法の適切な適用範囲をデータ利用者にわかりやすい形で簡潔にガイドラインとしてまとめ、データと合わせて公開する。また、学会等で研究成果を広く発表する。

今年度の研究概要

CDFDM法、アナログ法を使った上記2種類のモデルを構築し、空間解像度2kmの気候データを作成する。導入を予定しているストレージを使ってデータ開発の基盤を構築する。

課題代表者

石崎 紀子

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学
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担当者