- 予算区分
- 研究活動スタート支援
- 研究課題コード
- 2324CD003
- 開始/終了年度
- 2023~2025年
- キーワード(日本語)
- Nested-MRIO,マテリアルフットプリント,カーボンフットプリント,物質フロー指標,構造分解分析
- キーワード(英語)
- Nested-MRIO,Material footprint,Carbon footprint,Material flow indicator,Structural Decomposition Analysis
研究概要
本研究の目的は、地域経済サプライチェーンにおける如何なる要因が国内の物質フロー指標改善とGHG削減に寄与したかを定量化し、さらなる物質利用効率化とGHG削減の両立に向けた、最も改善すべき要因を行政単位別に特定することである。そのため、任意の自治体の国内および国際サプライチェーンの構造を同定し、その過程で発生するGHG排出と物質消費の算定が可能な独自のデータ創生基盤を開発する。具体的には67地域を対象とし、GHGの増加と物質フロー指標の悪化に寄与した生産・消費部門を構造分解手法により地域別に検出し、地域経済サプライチェーンを国内外で脱炭素・脱物質型に転換するための経済的・技術的改善点を明示する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本研究では、システム分析を基礎とする次の課題(1)から(3)の実施により、上述の目的を達成する。なお、対象とする地方行政単位は政令指定都市(20都市)とそれ以外の地域を都道府県(47地域)に集約した67地域とする。これらの地域における物質利用とGHG排出の要因を、公開済みの産業連関表の基準年(2005−2011−2015年)を対象とした構造分解手法によって定量化する。
(1)「地域-貿易-外国-環境」を連結するサプライチェーンデータの創生:データ創生の方法は、シドニー大学が世界で唯一豪州地域のデータ整備に成功したnested multiregional input-output model(nested-MRIO)の手法と計算システムを日本地域に適用する。具体的には、67地域を各380部門で生産活動を定義し、世界163地域の生産システムとの国際貿易と地域経済を接続した「Japan nested-MRIO」のデータ創生を実施する。
(2)物質・GHGのインベントリデータを用いた地域単位の消費基準環境負荷排出量の算定:(1)において作成されたJapan nested-MRIOの地域・部門と対応した単位生産あたりの直接物質投入量と直接GHG排出量のインベントリデータを整備する。インベントリデータを用いて、各地域の消費が国内・国外のサプライチェーンを通じて誘発するMaterial footprint (MF)・Carbon footprint (CF)を算定する。
(3)構造分解分析による物質利用とGHG排出の変化要因の定量化:(2)において算定されたMFとJapan nested-MRIOで定義される経済・技術要因を用いて、物質フロー指標を定式化する。構造分解手法によって、物質フロー指標およびCFの変化に対する寄与を生産部門および消費部門で地域別に定量化し、双方の改善が両立しない部門を特定する。同時に、国外への物質消費とGHG排出量も算定する。特定した部門に注目し、物質利用効率化とGHG削減の両立のために注目すべき経済的・技術的な改善要因を地域別に考察する。
今年度の研究概要
当年度は全体計画における(2)物質・GHGのインベントリデータを用いた地域単位の消費基準環境負荷排出量の算定に注力する。
課題代表者
畑 奬
- 社会システム領域
脱炭素対策評価研究室 - 研究員
- 博士(環境学)
- システム工学,土木工学