ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

環境中マイクロ・ナノプラスチックの標準品ライブラリ整備とリスク解析に資する安全性情報の集積(令和 6年度)
Libraries of standard samples micro- and nanoplastic in the environment and exploring the safety information

予算区分
環境問題対応型研究(一般課題、技術実証型)
研究課題コード
2426BA002
開始/終了年度
2024~2026年
キーワード(日本語)
ナノプラスチック,標準物質,毒性試験
キーワード(英語)
nanoplastics,reference materials,toxicity tests

研究概要

環境中のマイクロプラスチック(MPs;5 mm以下の微粒子)、中でもより小さなナノプラスチック(NPs;1 μm以下)による負の生体影響が危惧されている。これらMPs・NPsはヒト体内からも検出されるなど、我々は既に曝露を避け得ず、リスク(ハザード×曝露実態・動態)の解析が喫緊の課題となっている。一方で環境中のMPs・NPsは、多種類で、かつ多様な物理化学的性質(物性;サイズ、形状、UV等による表面の化学的改変[=劣化])を持った複雑系であるものの、研究室レベルでは、例えば「球状で10 μmの大きさのポリスチレン;PS」を実験に供するなど、単一規格のMPs・NPsを用いた検討が殆どである。MPs・NPsのハザードやその動態は、存在様式(種類とその物性)によって運命付けられるため、リスク解析に際しては、例えば「針状や凸凹状で、100 nm〜10 μmの大きさ、種々劣化度のPS」を用いるなど、実環境を考慮する必要がある。しかし国内外を問わず、このような研究に叶うMPs・NPs標準品は整備されていない。そこで本申請では、環境中の複雑な存在様式を反映したMPs・NPs標準品をライブラリとして作製し、そのうえで経口・吸入曝露試験により動態を把握するのみならず、各種ハザード解析を通じてMPs・NPsの統合的な安全性評価を推進する。即ち、実環境中で多く検出される5種類のプラスチック素材(ポリエチレン;PE、PS、ポリプロピレン;PP、ポリエチレンテレフタラート;PET、ポリ塩化ビニル;PVC)を対象に、サイズ(100 nm~10 µm)・形状、表面劣化を考慮したMPs・NPs標準品ライブラリを整備する。これを用いて上記動態解析・各種毒性試験と共に、国内外に標準品ライブラリを展開することで、将来的な環境中MPs・NPsの挙動等の実態解明を含め、リスク解析に資する情報の集積に寄与する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

実環境中のMPs・NPsは種類の多さ、サイズ・形状・表面劣化などが複雑化した状態で存在している。このような実環境中の多種多様なMPs・NPsを考慮した標準品を、我々の「環境中での存在様式情報」を指標にしつつ、ライブラリとして整備し、体内動態・ハザード情報を蓄積する。まず、様々な種類(PE, PS, PP, PET, PVC)、物性(サイズ・形状・劣化状態)のMPs・NPsの作製基盤を構築し、国際的な標準品とするべく手法の最適化・大量生産系を確立する。さらに、標準品を用いて、経口・吸入曝露試験によるADME解析(吸収・分布・代謝・排泄/蓄積)により曝露実態・体内動態を把握するのみならず、ハザード情報を蓄積する。以上により、多種多様な物性のMPs・NPsを反映した標準品ライブラリを構築、国内外に展開し、包括的・複合的なリスク解析(挙動・体内動態・ハザード情報)に資する安全性情報を蓄積する。

今年度の研究概要

1. 様々なサイズのMPs・NPs作製のため、従来法の応用によるフロー方式を開発し、サイズ制御可能なNPs作製手法の開発を実施する。特に生体内に取り込まれやすいとされる粒子径100 nm付近の粒子作製に取り組む。常にサブテーマ1と連携することで、将来的な手法の国際化を目指した標準品作製基盤を構築する。
2. 吸入曝露試験の実施に向けて、MPs・NPsの曝露濃度、装置の設定条件等について検討する。経口曝露されたマウスを用いた体内動態解析法および毒性試験法を確立する。

外部との連携

大阪大学を代表として、サブテーマ1を大阪大学、和歌山県立医科大学が担当、サブテーマ2を国環研が担当する。

関連する研究課題

課題代表者

田中 厚資

  • 資源循環領域
    資源循環基盤技術研究室
  • 研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,農学
portrait

担当者