- 研究課題コード
- 2424AH001
- 開始/終了年度
- 2024~2024年
- キーワード(日本語)
- オゾン,環境ストレス,植物モニタリング,ストレス診断,アサガオ
- キーワード(英語)
- Ozone,Environmental stress,Phytomonitoring,Stress diagnosis,Morning glory
研究概要
本研究では、光化学オキシダントの新規指標植物としてアサガオ品種東京古形標準型を用い、分子的メカニズムに基づくストレス診断と併せ、野外における植物の環境ストレスに対する影響評価・解析を行い、環境情報の充実と大気環境の保全に取り組むための科学的知見の蓄積を目指す。わが国では多くの大気汚染問題が改善されてきたが、光化学オキシダント(オゾン)については、世界的にも汚染の高濃度化、広域化が進んでおり、人間の健康はもとより、樹木や農作物など植物への深刻な悪影響が強く懸念されている。また最近ピーク濃度の低下などオゾン発生状況の変化が指摘されている。本共同研究では、中長期的にオゾンによる植物被害の実態を把握するとともに、遺伝子発現解析等による植物のオゾンストレス診断手法を開発・高度化し、実際のオゾンによる植物被害調査に利用を拡大してきた。そこで、新規品種を用い、現在の環境基準程度の、これまでより低濃度のオゾンの被害の可視化を目指すとともに、これまでに開発したストレス診断法等を用いて、各地におけるオゾン等のストレスによる植物影響を評価・解析し、モニタリングを行う。また、市民の理解を深めるために各地域の特性を考慮しながら研究結果の普及を図っていく。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
光化学オキシダントの新規指標植物としてアサガオ品種東京古形標準型を用い、分子的メカニズムに基づくストレス診断と併せ、野外における植物の環境ストレスに対する影響評価・解析を行い、環境情報の充実と大気環境の保全に取り組むための科学的知見の蓄積を目指す。本共同研究では、中長期的にオゾンによる植物被害の実態を把握するとともに、遺伝子発現解析等による植物のオゾンストレス診断手法を開発・高度化し、実際のオゾンによる植物被害調査に利用を拡大してきた。最近ピーク濃度の低下などオゾン発生状況の変化が指摘されていることから、今年度は新規品種を用い、現在の環境基準程度の、これまでより低濃度のオゾンの被害の可視化を目指すとともに、これまでに開発したストレス診断法等を用いて、各地におけるオゾン等のストレスによる植物影響を評価・解析し、モニタリングを行う。また、市民の理解を深めるために各地域の特性を考慮しながら研究結果の普及を図る。
今年度の研究概要
1)参加機関において、7〜8月に共同でオゾンによる植物被害実態調査を実施する。対象植物は、国環研供給の純系アサガオ2品種(スカーレットオハラ、東京古形標準型)を用いる。
2)参加機関構内の野外で生育させた2品種のアサガオについて、オゾンによる被害が観察される前(6〜7月頃)に葉を採取して(無傷葉)、RNA安定化溶液に浸漬し国環研に送付する。また、7月末〜8月頃に光化学オキシダント濃度が上昇した翌日に、各調査地点において被害が発現した葉(被害葉)があった場合、被害が発現しなかった葉(無被害葉)と共に遺伝子解析用に採取し、RNA安定化溶液に浸漬し国環研に送付する。特に、東京古形標準型は、60ppb程度でも可視障害がみられる可能性があることから、低濃度での被害に留意する。
3)代表機関では各機関で実施したオゾンによる植物被害調査の結果とオゾン濃度等の情報を収集し、とりまとめて普及を図る。
4)一部参加機関ではオゾンによる森林衰退被害が指摘されているブナを用い、トランスクリプトーム解析、オゾンその他のストレスに関与する遺伝子の発現解析を行う。
【国環研】
1)各機関より送付されたサンプル葉におけるオゾン応答遺伝子等の発現調査を行う。
2)先行研究で得られた前年までの結果、及び使用する遺伝子の選定など診断手法の改良についての知見をとりまとめる。
3)ブナの遺伝子発現解析、トランスクリプトーム解析に助言や技術移転を行う。
4)各地におけるオゾンの影響評価結果をとりまとめ、情報発信のためのデータを提供する。特に、東京古形標準型がこれまでスカーレットオハラで可視害が出るとされていた下限濃度の70ppbよりも低い濃度で可視障害がみられる可能性に留意する。
外部との連携
福島県環境創造センター
札幌市衛生研究所
栃木県保健環境センター
埼玉県環境科学国際センター(オブザーバー)
神奈川県環境科学センター
香川県環境保健研究センター
福岡県保健環境研究所
名古屋市環境科学調査センター(オブザーバー)
武庫川女子大学(オブザーバー)