- 研究課題コード
- 2124CD008
- 開始/終了年度
- 2021~2024年
- キーワード(日本語)
- 黒ボク土,活火山,母材,テフラ,植生
- キーワード(英語)
- Andisols,active volcanoes,parent materials,tephra,vegetation
研究概要
国内⼟壌の中でも最も広い分布⾯積を持つ⿊ボク⼟は主に活⽕⼭周辺に分布する。⿊ボク⼟は活⽕⼭起源の⽕⼭灰などを主要な⺟材にイネ科の草本植⽣を有機物の給源として⽣成し、特徴的な⿊⾊を呈する。この⿊⾊は炭素が主成分であり、⿊ボク⼟は世界の⼟壌の中でも最も炭素含量が⾼い。⼀⽅、古い⽕⼭や⽕⼭を起源としない⿊ボク⼟も少なからず存在する。そこで本研究では、これまで⿊ボク⼟の成因解明の主な対象となってきた活⽕⼭周辺ではなく、⽕⼭はあっても(1)活⽕⼭周辺ではない地域の⿊ボク⼟、(2)⽕⼭灰などを⺟材にしない⿊ボク⼟、(3)近隣に⽕⼭はあるものの⿊ボク⼟が⽣成しない地域を対象に⿊ボク⼟の成因を解明する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
古い⽕⼭はあっても活⽕⼭の影響の無いことが確認できた国内最⻄端地域(⻑崎県五島市福江島の三井楽周辺、⻑崎市⿊丸周辺)に分布する⿊ボク⼟に着⽬し、野外調査、各種理化学分析、鉱物組成分析、⽯英粒⼦の酸素安定同位体⽐分析などを駆使し、その成因解明を⽬指す。⽂献等で⿊ボク⼟の分布域を調査したうえで、各⿊ボク⼟の⺟材を特定するため、粒径組成分析および各画分試料(細砂、シルト、粘⼟)のX線回折による⼀次鉱物組成解析や粘⼟鉱物分析を⾏う。併せてシルト画分から⾒出される⽯英については、安定同位体測定⽤質量分析装置によって、⽯英の酸素同位体⽐を調べ、より詳細な⿊ボク⼟の⺟材判定を⾏う。さらに、⼟壌有機物の起源を明らかにするため、炭化物の有無を明らかにするとともに、植物珪酸体組成や炭素安定同位体⽐分析によって給源となった植⽣を明らかにする。
今年度の研究概要
今年度は、引き続き九州に分布する⿊ボク⼟の調査・分析を⾏い、その⺟材となる鉱物類の各種同定分析を実施する。また、調査対象地域内で黒ボク土と隣接する他の土壌(石灰岩質土壌など)についても生成過程や母材の由来について調査・分析を行い、⿊ボク⼟が生成する成因について解明を⾏う。
外部との連携
課題代表者:井上弦(東海大学農学部)
備考
2123CD004の延長課題
- 関連する研究課題
課題代表者
村田 智吉
- 地域環境保全領域
土壌環境研究室 - 主幹研究員
- 博士 (農学)
- 農学,地学