- 研究課題コード
- 2325CD006
- 開始/終了年度
- 2023~2025年
- キーワード(日本語)
- 山岳湿原,放流管理,洪水頻度,栄養塩,湿原植生
- キーワード(英語)
- Mountain wetlands,Discharge management,Flood frequency,Nutrient salts,Wetland vegetation
研究概要
山岳湿原の尾瀬ヶ原の下流域には尾瀬沼を水源とする沼尻川が流れている。しかし、尾瀬沼では1949年以降、東京電力が電源開発のために片品川(利根川水系)への計画的取水を行ってきた。本研究は、電源開発に伴う尾瀬沼の放流管理が下流域の尾瀬ヶ原湿原の洪水頻度と栄養塩分布にあたえた影響、そしてその後の湿原内の植生分布にあたえた影響を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本課題は3つのサブテーマ構成にて遂行する。
1. 尾瀬沼から利根川水系への取水管理の有無が沼尻川流域(尾瀬ヶ原)への水、土砂の移動パターンや洪水頻度にあたえた影響について各回の尾瀬総合学術調査(1950-2021)にて取得した現地情報や各種水文データを組み合わせて解析を行う。
2. 尾瀬沼の放流管理開始前後に成立した尾瀬ヶ原湿原の土砂・泥炭堆積プロセスおよび湿原内の栄養塩分布を明らかにする。尾瀬ヶ原湿原の中下流域を調査対象とし、沼尻川を挟む横断的なトランセクト上にて土壌・泥炭コアを採取し、河川氾濫により運搬される無機質粒子成分の流入量やその起源解析を行う。
3. 尾瀬沼の放流管理が尾瀬ヶ原の河川周辺植生にあたえた影響を明らかにする。植生評価は既に第4次尾瀬総合学術調査にて現地踏査結果が報告されている。これらに加え、季節ごとに空撮した情報から詳細な植生分布が解析できる。比較となる放流管理以前の植生は、第1次尾瀬ヶ原総合学術調査(1954)の踏査結果などを用い、河川氾濫の影響を特に受けやすいと考えられる各種植物の分布変化に注目する。
今年度の研究概要
引き続き尾瀬ヶ原湿原内で採取した泥炭中の鉱質成分分析を行い、その由来と堆積メカニズム、河川の氾濫などとの関連性について調査・考察を行う。また、上流部の尾瀬沼の底泥、隣接する燧ヶ岳の斜面土壌についても引き続き調査・分析を進め、尾瀬ヶ原に分布する鉱質成分との関係性についても考察を進めていく。尾瀬ヶ原を流下する沼尻川の水位調査や尾瀬沼付近の湿原の水位変動についても引き続き観測を行う。
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