- 研究課題コード
- 2426CD005
- 開始/終了年度
- 2024~2026年
- キーワード(日本語)
- 買い替え行動,製品価値,循環経済,消費者調査,耐久消費財
- キーワード(英語)
- product replacement,product value,circular economy,consumer survey,consumer durables
研究概要
製品の使用期間の長期化やリユース・リマン製品の普及など循環経済へ移行するため、製品の買い替え理由やその要因の理解は不可欠である。しかし、製品の主な買い替え理由が製品間や使用者間でなぜ異なるのか、その違いをもたらす要因は理論的に検討されていない。本研究では、使用者が認知する製品の使用価値の違い、特に製品の使用経験から生じる感情がもたらす「快楽的価値」と製品の使用結果の実利性がもたらす「実用的価値」の強さの違いが製品間・使用者間での買い替え理由の違いを説明できるか、およびそれらの使用価値の違いをもたらす製品や使用者の特性が何か、定性的インタビュー調査と定量的アンケート調査を組み合わせて分析する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
本研究では、耐久消費財の使用価値と買い替え理由の関連やその要因を明らかにするために、次のように定性・定量調査と分析を実施する。
A) 家電製品の使用状況(主な用途や使用頻度、使用期間など)や買い替え時の状況(買い替えのきっかけの出来事、出来事をうけた製品の評価の変化など)などの項目について、家電製品を買い替えた使用者を対象に半構造化インタビュー調査を実施する。定性データ分析手法を用いて、製品の使用価値の分類と構造や、製品の使用価値と買い替え理由の関連、および製品の使用価値の違いの要因となる製品や使用者の特性を定性的に分析する。
B) Aによる製品の使用価値の調査・分析結果をもとに、実際の利用状況における製品の使用価値を評価するためのアンケート調査手法(設問構成や評価尺度)を開発する。開発した調査手法を用いて、家電製品の使用者にアンケート調査を実施し、その有効性を確認する。
C) Aの結果に基づき、主な使用価値や買い替え理由(特に故障による買い替えか否か)が製品の種類の間で大きく異なる製品を2種類選定する。Bで開発した手法に基づいて、製品の使用価値や買い替え理由、買い替えに影響するその他の要因(製品の使用期間や使用頻度、製品が中古品か、製品の不具合の程度など)などの項目について、それらの製品を買い替えた使用者を対象にアンケート調査を行う。製品間での使用価値や買い替え理由の違いおよびそれらの関連を統計的に分析する。
D) Aの結果に基づき、主な使用価値や買い替え理由が同じ製品の使用者の間で大きく異なる製品を1種類選定する。製品の使用価値や買い替え理由、買い替えに影響するその他の要因に加え、消費者の特性(社会経済属性および製品関与や革新指向性、意思決定方略傾向などの心理的属性)などの項目について、それらの製品を買い替えた使用者を対象にアンケート調査を行う。消費者間での製品の使用価値や買い替え理由の違いおよびその関連を統計的に分析する。また、消費者間での製品の使用価値の違いをもたらす消費者の特性を探索する。
今年度の研究概要
直近1年以内に家電製品を買い替えたことのある使用者を対象に半構造化インタビュー調査を実施する。対象の家電製品は、主な買い替え理由が異なる可能性が高い大型家電と小型家電から各3種類程度を選定し、製品ごとに5名程度の使用者への調査を行う。調査では、買い替えるまでの製品の使用状況(主な用途や使用頻度、使用期間など)や買い替え時の状況(買い替えのきっかけの出来事、出来事をうけた製品の評価の変化など)、買い替えた後の新しい製品の使用状況(主な用途や使用頻度、価格など)などを尋ねる。修正版グラウンデッドセオリーアプローチなどの定性調査・分析手法を用いて、製品の用途を手がかりに製品の使用価値の分類や構造を詳細に調査する。製品の使用価値と買い替え理由の関連を分析し、本研究の仮説モデルを定性的に検証する。また、製品の使用価値の違いの要因となる製品や使用者の特性を探索する。既存の調査方法や評価尺度を参考にしつつ、製品の使用価値の分類や構造に関するインタビュー調査結果をもとに、実際の利用状況における製品の使用価値を評価するためのアンケート調査手法(設問構成や評価尺度)を開発する。
- 関連する研究課題
- : 資源循環分野(イ政策対応研究)
課題代表者
山本 悠久
- 資源循環領域
資源循環社会システム研究室 - 特別研究員
- 博士(工学)
- システム工学,心理学