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気候安定化目標と調和した生物多様性保全と世界食料安全保障(令和 5年度)
Reconciling biodiversity conservation and global food security within climate
stabilization targets

予算区分
基盤研究(B)
研究課題コード
2325CD015
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
食料安全保障,生物多様性,土地利用
キーワード(英語)
food security,biodiversity,landuse

研究概要

世界の生物多様性保全コミュニティが策定に取り組んでいる2020年以降の生物多様性枠組みでは、生物多様性の保全目標を意欲的に設定し、保護地域を現在の世界面積15-17%のレベルから抜本的に拡大させることが盛り込まれている。他方で、所得の増加や人口増加に伴い、世界ではより多くの食料需要が予測され、農業生産のためにより広い農地が必要とされることが想定される。保護区の大幅な拡大は、農業生産に利用できる土地を大きく制限し、食料と栄養の安全保障の不安定化につながる可能性がある。加えて、土地利用に関連した気候緩和策も保護地域や農業と土地をめぐる競合が予想される。本研究では、農業経済モデル、栄養・健康評価モデル、生物多様性モデルからなる包括的なモデリング枠組みを用いて、土地利用競争を通じた生態系保全と食料安全保障の相互影響を明らかにすることを目的とする。また、そのトレードオフを最小化するための保全シナリオや補完策を検討・提案することを目的としている。本研究の結果は、生物多様性の保全、食料安全保障、気候安定化を調和させる包括的な政策に貢献することができる。
本課題に関して、国立環境研究所では、社会経済・気候シナリオの検討と作成、世界の保護地域コンポーネントの開発およびそれを用いた生物多様性モデルと土地利用モデルの接続等に取り組む。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

まず2023年度に、農業経済・土地利用モデルと生物多様性モデルを用いて、気候目標達成のための排出削減シナリオの下で、農業が生物多様性に及ぼす影響の将来予測を実施する。続く2024年度にかけて、生物多様性保全シナリオを想定したうえで、その食料安全保障への影響のシミュレーション実験を実施する。また、その人間健康への含意を評価する。その後、最終年度に向けて、生物多様性保全のための空間計画シナリオを複数用意したうえで、その食料安全保障、栄養摂取、人間健康への含意を評価する。また食料システム変革シナリオの土地利用と生物多様性への含意を評価する。

今年度の研究概要

農業経済・土地利用モデルと生物多様性モデルを用いて、気候目標達成のための排出削減シナリオの下で、農業が生物多様性に及ぼす影響の将来予測を実施する。

外部との連携

本課題は国立研究開発法人国際農林水産業研究センター社会科学領域Wu Wenchao任期付研究員が課題代表を務める研究課題に研究分担者として参加する。

課題代表者

高橋 潔

  • 社会システム領域
  • 副領域長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,工学
portrait

担当者