ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

2050カーボンニュートラル環境での国内地表オゾンの予測と低オゾン・脱炭素コベネフィット戦略の提示(令和 5年度)
Projection of ground level ozone in Japan in 2050 carbon-neutral environment and proposal of co-benefit strategy of low ozone and decarbonization

予算区分
問題対応
研究課題コード
2324BA001
開始/終了年度
2023~2024年
キーワード(日本語)
2050カーボンニュートラル,地表オゾン,コベネフィット戦略
キーワード(英語)
2050 Carbon Neutral,Surface Ozone,Co-benefit Strategy

研究概要

2050カーボンニュートラル環境における国内の地表オゾン濃度を評価し、地表オゾンを最小化する脱炭素シナリオと大気汚染物質の排出削減シナリオの組合せを探索して、低オゾン・脱炭素のコベネフィット戦略を提示する。この目的のため、 2030、2050年を対象に、社会経済とエネルギー構成のベースラインシナリオと複数の脱炭素シナリオを選定し、オゾン前駆物質の排出削減によるオゾン濃度への影響を大気質モデルで評価した結果を活用しながら、国内におけるオゾン前駆物質の排出削減シナリオ群(高位と低位など複数の削減シナリオ)を作成する。これに加えて、領域気象モデルで空間詳細化した日本の将来気候変動や国外からの大気汚染物質の越境輸送の将来変化も考慮して、2030、2050年の国内の地表オゾン濃度を大気質モデルにより予測する。これらの結果を元に、地表オゾン濃度を最小化しうる脱炭素シナリオとオゾン前駆物質の排出削減シナリオの組み合わせを明らかにする。更にオゾン目標(新基準値やWHO目標値)の達成に必要な脱炭素シナリオとオゾン前駆物質排出削減シナリオの組み合わせを探索する。最終的に、脱炭素社会における低オゾン化の達成可能性を定量的に示し、低オゾン・脱炭素社会に向かう筋道を提示する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

2030、2050年を対象に、社会経済とエネルギー構成のベースラインシナリオと複数の脱炭素シナリオを基に、大気汚染物質の排出削減シナリオ群を作成するとともに、将来の気候変動や越境汚染の影響を加味して国内の地表オゾン濃度を予測する。これらをもとに、地表オゾンを最小化する脱炭素シナリオと大気汚染物質の排出削減シナリオの組合せを探索して、低オゾン・脱炭素のコベネフィット戦略を提示することを目的とする。この目的のため、以下のように研究を進め、2050CN環境における低オゾン化の達成可能性を定量的に示す。
(1)2030、2050年を対象に、社会経済とエネルギー構成のベースラインシナリオと複数の脱炭素シナリオを選定し、それらに対して、国内におけるオゾン前駆物質(窒素酸化物、炭化水素化合物)の対策レベルを異にする、複数のオゾン前駆物質排出削減シナリオ群(高位と低位など複数の削減シナリオ)を作成する。その際、オゾン前駆物質の排出削減による地表オゾン濃度への影響を、排出部門(セクター)別に大気質モデルで評価し、対策レベルの検討に活用する。
(2)(1)のオゾン前駆物質排出削減シナリオに加えて、全球規模の気候モデルによる将来気候変動実験の結果を領域規模の気象モデルで空間詳細化した日本の将来気候変動や、国外からの大気汚染物質の越境輸送の将来変化も考慮して、2030、2050年の国内の地表オゾン濃度を領域規模の大気質モデルにより予測する。
(3)(1)、(2)をもとに、地表オゾン濃度を最小化しうる脱炭素シナリオとオゾン前駆物質の排出削減シナリオの組み合わせを明らかにする。更に、健康影響の抑止に向けたオゾン濃度の目標値(新基準値やWHO目標値)の達成に必要な脱炭素シナリオとオゾン前駆物質排出削減シナリオの組み合わせを探索する。最終的に、脱炭素社会における低オゾン化の達成可能性を定量的に示し、低オゾン・脱炭素社会に向かう筋道を提示する。

今年度の研究概要

・環境省の排出インベントリ等を利用して近年の国内における大気汚染物質排出量データを作成し、それを基準に2030、2050年における社会経済・エネルギーのベースラインシナリオや対策技術の将来動向情報をもとに大気汚染物質のベースライン排出シナリオを作成する。国外の将来排出シナリオと併せて、化学輸送モデル入力用のグリッドデータを作成する。
・IPCC AR6ににおける全球気候モデルの将来気候予測実験データから、領域気象モデルWRFを用いて擬似温暖化手法による力学的ダウンスケールを行い、日本周辺スケールの将来気候変動シナリオを作成する。
・上記を用いて、WRF/CMAQモデルシステムにより、近年を対象としたオゾン再現実験及び国内排出量がベースラインでの2030、2050年の地表オゾン濃度を計算する。

外部との連携

埼玉県環境科学国際センター、電力中央研究所

課題代表者

永島 達也

  • 地域環境保全領域
    大気モデリング研究室
  • 主席研究員
  • 博士(理学)
  • 物理学,コンピュータ科学,地学
portrait