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マングローブ生態系の高い炭素蓄積能を支えるのは土壌深層における細根生産か?(令和 4年度)
Does fine root production in the deep soil layer support high carbon storage capacity in mangrove ecosystems?

予算区分
基盤研究(C)(一般)
研究課題コード
2224CD017
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
炭素循環,マングローブ,細根,土壌
キーワード(英語)
carbon cycle,mangrove,fine root,soil

研究概要

熱帯から亜熱帯地域の汽水域に発達し、地球上で最もCarbon- richな生態系であるマングローブ林は、土壌中への炭素隔離機能が極めて大きい ことから、その保全が温暖化抑止の低コストオプションと考えられている。本研究の概要は、高い土壌炭素蓄積のメカニズム解明に向けて、土 壌分画法と同位体分析を組み合わせて、土壌有機炭素の起源解析を行い、細根に起因する土壌有機炭素を定量化することである。沖縄県石垣島 のマングローブ林を対象に、既存の分解速度の異なる炭素プールの分離方法をマングローブ土壌に最適化するとともに、同位体分析を通じてマ ングローブ土壌の起源解析を行い、土壌深層での細根生産の高さを証明する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

陸域生態系の土壌で分解速度の異なる炭素プールに分離する手法として用いられる土壌分画法を、マングローブ林土壌に適するものにし、沖縄 県石垣島のマングローブ林の土壌サンプルを対象に細根と各土壌画分に分け、同位体を用いて土壌有機炭素の起源解析を行い、細根に起因する 土壌有機炭素の質量を定量化することによって、missing Cの起源を特定する。
1. 土壌有機炭素の比重分画と定量化
Zimmermann et al. (2007)が提案した分解速度の異なる炭素プールの分離方法をベースに、細根と各土壌画分に分ける条件をよりマングローブ林土壌に適したものに改良する。それぞれの試料の粒径サイズおよびポリタングステン酸ナトリウムの重液を用いた比重分画法で、細根と土壌に分離する条件を検討する。深さ0-100cmの土壌試料を10cm毎に分割した試料に対して、細根と各土壌画分は重量測定後、C/Nアナライザーで炭素および窒素含量を測定し、土壌有機炭素プール(各画分)を定量する。
2.土壌有機炭素の起源解析
1で用意する細根と分画試料を用いて、その起源を明らかにする。細根は全てマングローブ由来として扱う。一方、土壌画分に含まれる有機炭素について、マングローブ由来、陸上 由来、海洋由来なのか解析を行う。マングローブ由来、陸上由来、海洋由来のエンドメンバーは、細根 、近傍河川中の粒子状有機炭素(POC)、近傍海水中のPOCとする。これら3つのエンドメンバーおよび分画後の土壌について炭素・窒素安定同位体の組成を分析する。これらのデータを用いて、土壌に含まれる有機炭素の起源を解析する。各エンドメンバーの土壌画分への相対寄与を算出し、細根量を考慮に入れたうえで、深度別に土壌有機炭素プールの起源を解析する。

今年度の研究概要

1. 土壌有機炭素の比重分画と定量化について、細根と分解速度の異なる炭素プールとなる土壌画分に分ける条件を、よりマングローブ林土壌に適したものに改良することに取り組む。条件検討用に土壌を採取し、細根を目視で取り除いたのち、ポリタングステン酸ナトリウムの重液の比重をいくつかのパターンで作成し、それぞれの比重で分画された土壌の重量測定後、C/Nアナライザーで炭素および窒素含量を測定し、土壌有機炭素プール(各画分)を定量し、同位体分析(13C)等を行う。

外部との連携

神戸大学・農学研究科 藤嶽暢英教授

関連する研究課題
  • : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
  • : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
  • : 基盤計測研究(イ政策対応研究)

課題代表者

近藤 美由紀

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,農学
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