- 予算区分
- 環境問題対応型研究
- 研究課題コード
- 2222BA001
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- バイオチャー,炭素隔離,物質循環
- キーワード(英語)
- biochar,carbon sequestration,material cycle
研究概要
2015年にバイオ炭施用実験を開始した落葉広葉樹二次林サイトを用いて、炭素循環や栄養塩動態に対する中長期的な影響を明らかにする。細根を含めた植物生産量と生態系全体の分解呼吸量から純生態系生産量(NEP)を算出し、約10年にわたる生態系の炭素隔離能の変化を定量的に評価する。実際の林地にバイオ炭を施用してNEPを長期的に評価した例は海外を見ても皆無であり、極めて貴重なデータとなる。これにより、バイオ炭の林地への施用の有効性が初めて定量的に検証できるようになり、林野・環境行政でのバイオ炭を用いた炭素隔離方策の推進に寄与する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
2015年にバイオ炭施用を行った落葉広葉樹二次林では、短期的にはリター分解と樹木種子生産の両方の増加が認められた。これらは炭素隔離機能(Net ecosystem production; NEP)に対して正反対の効果をもたらす。しかし、細根生産を含めたNEPの定量的評価と、中長期的な応答性についてはまだ解答が得られていない。本サブテーマでは、バイオ炭施用が土壌中の栄養塩動態に与える変化を通して、森林生態系のNEPに与える中長期的な効果を野外で定量的に評価する。
今年度の研究概要
2015年にバイオ炭の施用を行った落葉広葉樹二次林を対象とする。 NEPの定量的評価のため、 野外における細根生産量の推定を行うと共に、従来行ってきた樹木成長などの純一次生産(NPP)と従属栄養生物による分解呼吸(HR)の測定を継続する。また、分解呼吸の促進がもたらす栄養塩放出の増加と樹木生産量との関係を明らかにするため、窒素循環に関する研究を開始する。今年度はまず土壌中の無機態窒素量の季節変動を明らかにする
外部との連携
早稲田大学(研究代表者 吉竹晋平 准教授)、岐阜大学(サブテーマ2課題代表 大塚俊之 教授)、神戸大学、兵庫県立大学、玉川大学
研究課題名:林地へのバイオ炭施用による CO2 放出の削減と生態系サービスの強化に関する研究
- 関連する研究課題
- : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 基盤計測研究(イ政策対応研究)
課題代表者
近藤 美由紀
- 環境リスク・健康領域
計測化学研究室 - 主任研究員
- 博士(農学)
- 化学,生物学,農学