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「真の渦集積法」が明らかにする森林群落スケールのVOC放出能とその環境応答特性(令和 4年度)
VOC flux measurements in temperate forests

研究課題コード
2224CD016
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
揮発性有機化合物
キーワード(英語)
VOC

研究概要

森林から放出される揮発性有機化合物(VOC)は、大気質や気候変動に作用する重要な物質群と認識されている。しかし、どのような種類のVOCがどの程度放出されているかという基礎情報が正確に得られていない。森林での観測研究が遅れている理由のひとつは、大気—森林間のVOC輸送量(フラックス)を測定する信頼性の高い方法が確立されていないことにある。本研究では、我々が開発した「真の渦集積法」(TEA法)を初めてVOCに適用する。これにより、これまで半経験的な手法(簡易渦集積法)に頼らざるを得なかったVOCについて大気乱流理論に基づいたフラックス観測を実現する。森林の樹冠上においてVOCフラックスを連続的に観測することによりVOCの放出実態(組成・量)を明らかにし、その上で、気象データと対比可能な高頻度のVOCフラックスデータを用いて森林のVOC放出能に影響する気象要因を特定する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、国内温帯林から放出されるVOCを対象として、(1)TEAシステムの特性の把握と高度化、(2)TEAに対応したVOC測定装置の構築、(3)森林におけるVOCフラックスの連続測定と気象要素との比較を実施する。

今年度の研究概要

初年度にあたる今年度は、TEAシステムの特性の把握と高度化を推進する。これまでの研究により、TEAシステムは直接法と呼ばれる渦相関法(EC法)とほぼ同様なパフォーマンスを示している。一方、夜間など乱流が弱い条件ではいずれの手法でもフラックス測定が困難になるが、TEA法の方が適用可能な乱流条件が厳しいという課題を抱えている。この原因をTEA法によるCO2フラックスの実測値と計算条件を変えたシミュレーションとの比較などによって明らかにする。

外部との連携

森林総合研究所、京都大学

課題代表者

斉藤 拓也

  • 地球システム領域
  • 主幹研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学
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