- 研究課題コード
- 2224CD015
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- エアロゾル,雲,ライダー
- キーワード(英語)
- Aerosols,Clouds,Lidar
研究概要
大気エアロゾルの気候影響は最新のIPCC報告書においても不確定性が大きく、その主な要因はエアロゾルー雲相互作用の理解不足にある。とりわけエアロゾルの混合相雲への影響については現行の気候モデルでは取り扱われておらず、エアロゾルー混合相雲の物理過程の解明は最重要タスクの一つとなっている。しかし、測定方法の制約により現状では観測研究が圧倒的に不足している。一方で、国立環境研究所で開発を進めてきたアクティブセンサ(ライダー)により、エアロゾル・雲鉛直分布の定量的な観測が可能となった。そこで本研究では、エアロゾルと混合相雲のアクティブセンシングを通じて、日本上空の混合相雲内における氷晶形成メカニズムを明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
本研究では、日本上空の混合相雲内における氷晶形成メカニズムを明らかにするため、アクティブセンサを用いてエアロゾル・雲の光学・微物理特性と気象パラメータの鉛直分布を測定し、エアロゾル・雲・気象要素について相関解析をする。令和4年度では、高スペクトル分解ライダーで測定されたデータから雲の消散係数と有効半径を抽出する。また、エアロゾルの種類別濃度(ダスト、煤、海塩粒子、大気汚染粒子)を算出する。さらに、ライダーデータから雲内における気温・相対湿度・鉛直流を推定する。令和5年度以降では、気温毎の過冷却雲・氷雲存在比を解析し、エアロゾルの種類に応じた氷雲存在比の違いや季節毎の特徴を明らかにする。また、エアロゾルが氷雲の微物理特性に与える影響を明らかにするため、エアロゾル濃度と氷雲の消散係数や有効半径について相関関係を調べる。また、気象パラメータが氷雲形成にどのように影響しているのかを明らかにするため、氷雲の分布と相対湿度・鉛直流の関係を調べる。
今年度の研究概要
令和4年度では、エアロゾル・雲・気象要素の鉛直分布を同時に測定するライダーシステムを開発する。エアロゾル・雲については高スペクトル分解ライダーを用いて濃度(消散係数)と有効半径を抽出する。気象要素については、大気分子散乱のスペクトル幅やドップラーシフトを計測するライダーを用いて気温・相対湿度・鉛直流を推定する。
- 関連する研究課題
課題代表者
神 慶孝
- 地球システム領域
大気遠隔計測研究室 - 主任研究員