- 予算区分
- 基盤研究(C)
- 研究課題コード
- 2123CD009
- 開始/終了年度
- 2021~2023年
- キーワード(日本語)
- 黄砂,ひまわり8号,ライダー
- キーワード(英語)
- Asian dust,Himawari-8,Lidar
研究概要
近年、黄砂と共に飛来するPM2.5やバイオエアロゾルの重要性が認識されている。また、黄砂は広大な砂漠域で一様に発生するのではなく、黄砂の発生しやすい場所・ホットスポットがあることが知られている。最新の静止気象衛星ひまわり8号のプロダクトであるダストRGBを活用すると、広大な砂漠域で発生する中小規模の黄砂現象を検出し、その輸送過程を詳細に研究することができるようになった。一方、申請者のグループは黄砂観測用のシーロメーター(小型ライダー)をゴビ砂漠の2ヶ所に設置して、国立環境研究所が運用する東アジアライダーネットワーク(AD-Net)のライダー3台と共に運用している。このライダー 観測網を用いると、ゴビ砂漠における黄砂の舞上りと輸送高度をリアルタイムで観測することができる。本申請では、ひまわり8号のダストRGBデータとライダー観測網を活用して黄砂のホットスポットを解明し、日本における大規模な黄砂の予測に資することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
まず、世界気象機関の地上気象通報(SYNOP)を用いて黄砂情報を取得する。この黄砂情報に基づき、ひまわり8号ダストRGBを解析して、黄砂の発生と輸送を調べる。さらに、各黄砂イベントについてライダー観測網のデータから黄砂の舞上りと輸送高度を調査し、長距離輸送の推定に生かす。また、モンゴルにおける春季と夏季の集中観測および既観測データ(2013-2019年)のデータを解析し、黄砂ホットスポットを検出する。集中観測および既観測のデータ解析を総合して、黄砂ホットスポットが出現しやすい場所を特定する。さらに、地形や植生分布・土地利用との関係を考察する。黄砂予報に生かせる気候学的特徴を洗い出す。
今年度の研究概要
前年度に取得した黄砂の消散係数ー質量変換係数とシーロメーター・ライダーの測定データを用いて、ゴビ砂漠から舞い上がる黄砂の量を見積もる。また、衛星ライダーとひまわり8号データを用いた黄砂の空間分布の解析を進める。さらに、モンゴルのシーロメーター・ライダーを保守し、質の高い観測データを取得する。
外部との連携
研究代表者:甲斐憲次(名古屋大学名誉教授)、役割:黄砂ホットスポットの検出および気候学的特徴の解明
その他の分担研究者:河合慶(名古屋大学研究員)、役割:黄砂の検出およびダストRGB画像の解析
- 関連する研究課題
課題代表者
神 慶孝
- 地球システム領域
大気遠隔計測研究室 - 主任研究員