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島嶼生態系における生態ネットワークの決定プロセスの解明(令和 4年度)
Elucidation of the determination processes of ecological networks in island ecosystems

予算区分
若手研究
研究課題コード
2224CD013
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
マクロ生態学,島の生物地理学,生態ネットワーク,相互作用,環境勾配
キーワード(英語)
Macroecology,Island biogeography,Ecological network,Interaction,Environmental gradient

研究概要

群集の多様性や種組成の決定プロセスに影響する要因として、環境・空間の影響が長く研究されてきた。一方で、複数栄養段階を含む群集(生態ネットワーク)については未だ研究例が少ない。近年、気候変動に対する生物群集の応答を理解する必要性に迫られる中で、複数栄養段階を含む生態ネットワークの決定プロセスへの関心が高まっている。本研究では、南西諸島の植物−植食性鳥類の生態ネットワークに着目し、地域と局所の空間スケールにおける各島の生態ネットワークの構造決定プロセスを明らかにすることを目的とする。これにより、地域で生じる気候変動や局所で起きる種の絶滅が、生態ネットワークに与える影響の予測など応用面でも今後の発展も期待できる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

1.地域スケールにおける潜在生態ネットワークの決定プロセスの解明
蝶と植物の各種の分布と蝶と植物の相互作用情報(場所の情報なし)から、各島の潜在ネットを再構築する。再構築された各島における潜在ネットワークの構造を各指標により評価する。各指標を駆動する気候及び地理的要因を明らかにすることで、潜在生態ネットワークの決定プロセスを明らかにする。

2.局所スケールにおける実現生態ネットワークの決定プロセスの解明
各島で観察された相互作用を集積した情報から、実現生態ネットワークを再構築する。この結果を?の潜在的な相互作用と比較することで、各島の潜在的には相互作用するが観察ではしていない相互作用を調べる。気候や地理的要因との関係から、このギャップを引き起こすプロセスを明らかにする。

3.地域プロセスと局所プロセスの相対的重要性の評価
島間の生態ネットワークの違いを計算し、1.の地域プロセスと2.の局所プロセスの相対的な貢献度を計算する。具体的には、相互作用の共有度から島ペア間の違いを算出する際に、植物と蝶の種ペアが共有されていないことによる違い(潜在生態ネットワークによる違い)と種ペアは共有されているが片方の島のみ相互作用が観察されていることによる違い(実現生態ネットワークによる違い)を分割して評価し、それぞれの各島での貢献度と貢献度への環境や地理要因の影響を明らかにする。

今年度の研究概要

当該年度には、1の地域スケールにおける潜在生態ネットワークの決定プロセスの解明の解析に必要なデータの入力を完了し、そこから各島のネットワークの駆動要因を明らかにする。

課題代表者

中臺 亮介