- 研究課題コード
- 2125CD005
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
- キーワード(日本語)
- 妊娠期曝露,PM2.5,DNAメチル化
- キーワード(英語)
- Gestational exposure,PM2.5,DNA methylation
研究概要
妊娠期の微小粒子状物質(PM2.5)曝露による次世代への健康影響が報告されているが、メカニズムは未解明である。ミャンマーでは、急速な経済成長に伴って大気汚染が深刻化しているが、PM2.5測定値は限定的であり、研究としてもほとんど報告がない。本研究では、ミャンマーにおいて、次世代影響メカニズムの1つと考えられているエピゲノムに着目し、妊娠期のPM2.5曝露により、生後まで持続的に観測される血液DNAのエピゲノム異常の解析を行う。また、PM2.5曝露濃度とエピゲノム変化を高精度に対応させるため、PM2.5の個人曝露量評価と成分分析を行い、ミャンマーの汚染実態も把握する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
本研究では、以下の3テーマの研究を行う。
(1)ポケットPM2.5センサーを用いた妊娠後期のPM2.5の個人曝露量測定、及びPM2.5高濃度の場所で収集した大気のGCMSによる約1,200物質の一斉分析。
(2)妊婦臍帯血DNA及び生後の子供の血液DNAを用いた次世代シークエンサーによるDNA全体のメチル化解析。
(3)臍帯血DNAから生後の子供の血液DNAまで持続するDNAメチル化変化に対応するPM2.5成分の同定。
具体的には、PM2.5の情報が極めて限定的なミャンマーにおいて、PM2.5濃度が高い地域、PM2.5濃度が低い地域で、十分なインフォームドコンセントを実施し、研究に同意いただいた妊婦の妊娠後期の妊婦にポケットPM2.5センサーを装着し、PM2.5濃度の個人曝露量を定量的に明らかにする。また、PM2.5濃度が特徴的に高い場所のPM2.5成分分析を行う。さらに、出産時に臍帯血を、産まれた子供から血液を採取し、臍帯血DNAおよび血液DNAにおいて、次世代シークエンスによるDNA全体のメチル化解析を行い、連続的に変化し続けているDNAメチル化部位を、性差にも着目して明らかにする。最終的に、PM2.5高濃度の場所で特徴的に検出されるPM2.5成分とDNAメチル化変化を対応させ、持続するDNAメチル化変化へのPM2.5各種成分の寄与を明らかにする。問診票等による子供の健康調査、行動調査も行い、子供の健康異常が観測された場合は、DNAメチル化変化及びPM2.5各種成分と対応させることでPM2.5曝露による次世代健康影響メカニズムの一端の解明を目指す。
今年度の研究概要
今年度は、まず、ポケットPM2.5センサーPRO(Advanced)の校正・検証を日本国内で実施するとともに、マレーシア等での実施も検討する。医学倫理審査の承認後に、PM2.5高濃度地域、PM2.5低濃度地域で、妊娠後期の妊婦にPM2.5個人曝露量を解析可能なポケットPM2.5センサーPRO(Advanced)を装着し、PM2.5濃度の個人曝露量を定量的に明らかにする。また、PM2.5高濃度地域のPM2.5成分分析を行う。さらに、妊娠期のPM2.5曝露から生後まで持続するバイオマーカー探索に向け、PM2.5曝露による臍帯血におけるDNAメチル化変化部位を次世代シークエンサーにより解析する。
外部との連携
県立広島大学、Universiti Sultan Zainal Abidin
- 関連する研究課題
- 26420 : PJ1_実環境および脆弱性を考慮した健康影響の有害性評価に関する研究
- : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
鈴木 武博
- 環境リスク・健康領域
病態分子解析研究室 - 主任研究員
- 工学博士
- 生物学,生化学
担当者
-
TIN-TIN-WIN-SHWE環境リスク・健康領域
-
中島 大介環境リスク・健康領域