- 研究課題コード
- 1923CD003
- 開始/終了年度
- 2019~2023年
- キーワード(日本語)
- 魚類,底生動物,水温,分布
- キーワード(英語)
- Fish,Benthos,Water temperature,Distribution
研究概要
淡水生態系は人間生活への寄与度が極めて高い一方劣化が著しく、その保全が急務とされている。温暖化に伴う種分布の変化は、新しい群集や生態系機能の変化へとつながり、最終的に人間生活にも関わる可能性があり、その変化予測は重要な課題である。しかし、信頼度および汎用性の高い水温の予測手法は確立されておらず、他の系にくらべ淡水生態系での温暖化影響の検証・予測は遅れをとっている。また、既存研究の多くは温暖化の生物への影響を種レベルの観点からしか評価しておらず、種分布や環境の組み合わせが変化する将来において、群集構造や生態系機能がどう変化していくか未知の部分が多い。そこで本研究では、水温モデリング、種分布モデリング、および野外操作実験を統合することで、種・群集・生態系と多様なレベルで、温暖化の河川生態系への影響を予測する手法を提案する。また本手法を用い、全国スケールで河川生態系の温暖化に対するリスク評価を実施する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
2019〜2021年度にかけて、日本全国4地域で水温観測モニタリングネットワークを構築し、3年間にわたる水温と気温の時間データを取得した。また、そのうち北海道の空知川水系と東海地方の木曽川水系において、魚類調査を行った。これら中期的なデータを用いて、気温から水温を予測する統計モデルと、水温から魚類分布を予測するモデルを構築した。2022年度は、上記モデルの精度上昇を行うとともに、温暖化時の水温予測と魚類の分布予測を行う予定である。また、種の分布変化によって新たに形成される種の組み合わせを予測し、水温を操作可能なメソコスム上で新たな群集による生態系機能、種間相互作用効果を検証するための実験系を構築する。2023年度は、メソコスム実験の実施と得られた成果の公表を行う。
今年度の研究概要
2022年度は、気温-水温モデル、水温-魚類分布予測モデルの精度上昇を行うとともに、温暖化時の水温予測と魚類の分布予測を行う予定である。また、種の分布変化によって新たに形成される種の組み合わせを予測し、水温を操作可能なメソコスム上で新たな群集による生態系機能、種間相互作用効果を検証するための実験系を構築する。
外部との連携
北海道大学北極域研究センター 准教授 Jorge Garcia Molinos(代表)
地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 研究主任 石山 信雄(分担)
課題代表者
末吉 正尚
- 生物多様性領域
琵琶湖分室(生物) - 研究員