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マレーシア国サラワク州の保護区における熱帯雨林の生物多様性多目的利用のための活用システム開発(令和 4年度)
Development of biodiversity management systems for tropical rainforests at the protected areas in Sarawak

研究課題コード
2024TH001
開始/終了年度
2020~2024年
キーワード(日本語)
生物多様性,保護区,DNAバーコーディング,熱帯林,マレーシアサラワク州
キーワード(英語)
Biodiversity,Protected Areas,DNA barcording,Tropical rain forests,Sarawak, Malaysia

研究概要

本研究は、サラワク州の広範な地域に点在する国立公園の熱帯雨林において、マレーシア研究機関の研究者と協働し、多様な生物の分布生息状況や保護状況を、次世代DNAシーケンサーを用いたDNAバーコーディングなどの先端技術を駆使して網羅的に調査し、生物多様性科学において重要な課題である熱帯雨林の生物多様性の全貌解明を目指す。また、その過程で得た知識と共に、生物多様性に関する最新の知見を整理・統合して、観光産業、遺伝子資源を利用したバイオ産業、住民の自然認識、科学・環境教育など、地域社会のさまざまな層の幅広い用途に適した情報を発信する、生物多様性情報プラットフォームの構築を目指す。さらに、それらの取り組みで得られた経験と成果に基づき、教育プログラム・社会普及プログラムを策定・実施して、生物多様性の知的資源の価値に対する認識を高め、科学的な技能を備えた人材の育成体制を確立する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

(1,2年目)
生物多様性の知的資源の整理・統合を目的とし、既に得られている生物標本・データ・文献資料などの集積あるいは所在情報を収集して整理を開始する。また最先端の機器である次世代DNAシーケンサーや3次元画像作成・処理システムを導入し、最新の技法による熱帯林の生物多様性を長期的に定量評価・研究する体制を、相手国側の2つの研究機関に確立する。相手国側機関が主体的・自律的にこの研究計画を推進できるような人材育成・研究を進める。

(3年目)
上記で行った体制と連動させるため、それらの技術・システムを扱うための人材を相手国側研究機関の中に養成する。また、各地の国立公園において長期的・定期的に幅広い分類群の動植物や菌類をサンプルし、上記の技術を使って、サラワク州の国立公園における動植物と菌類の多様性(α・β・γ多様性)を定量評価する研究計画を開始する。

(4年目)
博物館・図書館・データベース機能を備えた生物多様性アーカイブシステムを相手国 研究機関に設置する。このアーカイブシステムと連動させて、収蔵された生物多様性の知 的資源に関する情報を地域社会の幅広い層に発信するシステムを開発し、その開発や運用を担える人材の育成も本研究期間中に行う。具体的には、活用目的に応じたインターフェースを備 えたインターネット上の情報検索システムや情報提供サイトの構築、様々なメディアを使った 出版・広報活動、国立公園内外・研究機関内外の様々な方面から付加される情報を整理統合して情報の交換・交流を支援する組織の設定を開始する。

(5年目)
得られた多様性に関するデータを統合し、あまりに多くの種が存在するために進展が遅れていた熱帯雨林の生物群集の食物連鎖・相互作用網構造、ギルド構造などの群集構造に関する研究をすすめる。また、国立公園の熱帯林が有する豊富な生物多様性知的資源に関する既存の知識を学校教育において活用するための、様々な生物多様性知識利用支援教育プログラムを開発する。

今年度の研究概要

生物標本・データ・文献資料などの収集を継続する。熱帯林のテストサイトを対象として、GISデータ用いた森林量の解析及び森林構造の把握のためのドローン・ライダー調査を行う。森林における生物多様性調査に関するプロトコルを現地の研究者らと議論し、執筆を進める。

外部との連携

京都大学(研究代表)
森林総合研究所
島根大学学術研究院環境システム科学系
高知大学教育研究部自然科学系農学部門
首都大学東京都市環境学部観光科学科
Forest Department Sarawak
Sarawak Forestry Corporation
Sarawak Biodiversity Centre

課題代表者

竹内 やよい

  • 生物多様性領域
    生物多様性評価・予測研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 生物学,林学
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担当者