ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

バックグラウンド濃度の把握によるVOC等大気汚染物質予測精度の向上と地域排出源による健康リスク評価の高精度化(令和 4年度)
Improvement of Prediction Accuracy of VOCs and Related Pollutants by Identifying Background Concentrations and Advancement of Health Risk Assessment

予算区分
安全確保領域
研究課題コード
2224BA007
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
揮発性有機化合物,バックグラウンド,大気質シミュレーション,健康リスク評価
キーワード(英語)
Volatile organic compound,Background,Air quality simulation,Health risk assessment

研究概要

本研究では揮発性有機化合物(VOC)を中心とした大気中化学物質の観測を日本全国のバックグラウンド(BG)地点と関東地域のBG地点で行うことにより、日本内外の汚染の切り分けと関東の内外の汚染の切り分けを行う。全国的BGとしては日本海側(鳥取)、太平洋側(八丈島を想定)、太平洋上の離島(小笠原父島)での測定を行う。関東地域のBGとしては群馬県及び東京都の山間部、伊豆諸島、千葉県外房地域に観測地点を設け、関東平野を取り囲む形でのデータを収集することによって関東内外の汚染の切り分けを行う。全国的BGの観測では、まず、既存の離島局等の常時監視データを基に大気汚染物質の季節変動の解析を行う。この結果を基に、各季節の代表値あるいは年間の平均値が得られるように各季1週間程度の集中観測を行う。関東地域BG地点の観測は基本的に関東内自治体の有害大気汚染物質モニタリングと合わせて実施する。
合わせて、パッシブサンプラーによるBG観測手法の開発・整備を行う。まず、市販のVOC測定用パッシブサンプラーを用い、炭化水素等の測定成分の拡張のため、測定対象物質の吸着量を大気濃度へ変換するためのサンプリングレートの整備を行う。このサンプリングレートは個別成分毎に必要となる。その後、感度を上げるための捕集期間の検討、測定地点での保存性の検討等を行う。測定手法を検討した後、BG地点で従来のキャニスター法との比較観測を行い、BGでのパッシブサンプラーの適用性を評価するとともにパッシブサンプラーによるVOCのBG濃度観測を行う。
上記の観測結果を基に、関東地域におけるOx生成に対する地域発生源の寄与や健康リスクへの寄与を精緻化していく。BG観測結果と領域化学輸送モデルを用いたシミュレーションによる関東地域外のOx、VOC、有害大気汚染物質の濃度の計算結果から、境界条件の精度を検証し、モデルの精度向上を図る。また、BG観測結果やシミュレーション結果を用いて、地域排出源に由来しないベース濃度由来のリスクを明らかにすることで、地域排出源に由来する健康リスク評価の高精度化を図る。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

季節変動を踏まえた形で関東地方、日本全国の大気中化学物質のバックグラウンド濃度を把握し、観測データから関東地域内と地域外汚染の影響の切り分けを行う。また、モデル解析を実施し、観測データによるモデル境界条件の検証を行うことでシミュレーションモデルの改善を図る。さらに、パッシブサンプラーによるバックグラウンド観測手法を開発し、簡易なバックグラウンドモニタリングによる地域内汚染対策の効果検証手法を提示していく。

今年度の研究概要

○ 大気中化学物質のBG観測
常時監視データを用いた解析を行い、BG測定の時期、頻度を検討する。BG地点での観測準備を行い、秋季〜冬季にかけて、観測地点全てで予備観測を行う。
○ パッシブサンプラーによるBG観測手法の確立
東京あるいは名古屋において、パッシブサンプラーとキャニスターによる並行測定を行い、広範な物質のサンプリングレートを決定する。また、長期採取(曝露)試験、現場保存性試験を実施して、測定感度の向上を図る。BG予備観測時にパッシブサンプラーによる並行採取を行い、BG測定による精度評価を行う。
○シミュレーションモデルの条件設定
本研究で実施する観測地点、対象物質に合わせた条件設定を行う。

外部との連携

東京都環境公社(研究代表者)、名古屋大学、群馬県衛生環境研究所

関連する研究課題

課題代表者

茶谷 聡

  • 地域環境保全領域
    大気モデリング研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(理学)
  • 工学,理学
portrait