- 研究課題コード
- 2224CD011
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- 領域化学輸送モデル,相互比較,オゾン,PM2.5
- キーワード(英語)
- Regional chemical transport model,Intercomparison,Ozone,PM2.5
研究概要
大気中のオゾンやPM2.5などの二次生成物質の効果的な濃度低減を検討するためには、領域化学輸送モデルが不可欠である。前駆物質の排出量の変化に対する二次生成物質濃度の変化については、モデルによる再現性の検証が十分にはなされていない。本研究では、COVID-19の影響を受けた前駆物質の大幅な排出減少がもたらした実大気中の二次生成物質の濃度変化を対象に、複数モデル間の相互比較を行い、計算される濃度変化の違いの要因を明らかにする。見出された要因について感度実験を行うことにより、その影響を定量化し、モデルで計算される二次生成物質の濃度変化の不確実性を減らし、信頼性を向上させるための方向性を提示する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
?領域化学輸送モデルは、どのような設定であっても、前駆物質の排出量の変化による実大気中のオゾンやPM2.5成分の濃度変化を有意に再現できるのか?
?異なる設定による領域化学輸送モデルで計算されるオゾンやPM2.5成分の濃度変化に違いを生じさせる要因は何か?
?要因をどのようにすれば、領域化学輸送モデルで計算されるオゾンやPM2.5成分の濃度変化の不確実性を減らし、信頼性を向上させることができるのか?
本研究では、上記の3つの学術的な問いに答えるために、前駆物質の排出量の変化が大きかった期間を抽出し、複数の領域化学輸送モデルによる濃度計算結果を相互に比較することにより、実大気中で観測されたオゾンやPM2.5成分、ならびにその前駆物質の濃度変化の再現性と不確実性を明らかにした上で、不確実性を生み出す要因と、感度実験を通して不確実性を低減させ信頼性を向上させるための方向性を見出すことを目的とする。
今年度の研究概要
記録的な猛暑が観測された2018年夏を対象に、領域化学輸送モデル間の相互比較を行う。2018年夏は、先行するモデル間相互比較研究プロジェクトであるJ-STREAMでも対象にしていた期間であり、オゾン濃度の立体観測などの独自観測データを有しているが、当時はまだ環境省による濃度自動観測データは公開されていなかった。現在は既にデータが公開されていることから、今回、同時期を対象に相互比較を行うことにより、常時監視によるNOXやPM2.5の濃度に加え、濃度自動観測によるVOCやPM2.5の成分別濃度時間値を含め、複数の異なるモデルによる濃度再現性についてより包括的な解析を行う。また、J-STREAMで得られた知見と対比させることにより、当時以来更新や改良が続けられているモデルや排出量データが濃度再現性に及ぼす有効性を明らかにする。
外部との連携
明星大学、電力中央研究所、大阪大学、神戸大学
- 関連する研究課題
- 26453 : 地域環境保全分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 地域環境保全分野(ウ知的研究基盤整備)
- : 地域環境保全分野(イ政策対応研究)
課題代表者
茶谷 聡
- 地域環境保全領域
大気モデリング研究室 - 主幹研究員
- 博士(理学)
- 工学,理学