- 研究課題コード
- 2224CD102
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- 底棲魚介類,個体群動態,生活史,再生産,東京湾,環境変動
- キーワード(英語)
- megabenthos,population dynamics,life history,reproduction,Tokyo Bay,environmental variation
研究概要
資源減少と環境要因が生活史特性の変化を引き起こし、その結果、個体群の再生産力が低下して、資源回復が阻害される「逆補償的減少(depensation)」に着目し、底棲魚介類の資源が回復しない要因を解明する。東京湾産シャコの資源減少にともない生じた生活史特性の変化が資源回復の阻害に及ぼす影響を、野外調査、室内実験、および数理モデルによる個体群動態シミュレーションにより明らかにする。そして、環境要因と生活史特性の変化が個体群の再生産力を低下させ、資源回復阻害につながる可能性を検証する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
東京湾産シャコの資源減少が、環境状態と生活史特性の変化にともない「逆補償的」に生じたことを検証する。野外調査と室内実験により、水温、餌生物量、貧酸素水塊が生活史特性の変化に及ぼす影響を示す。そこで得られた知見を個体群動態シミュレーションのための数理モデルに導入し、資源回復の阻害要因を明らかにする。
今年度の研究概要
東京湾の環境状態およびシャコ個体群の生活史特性を明らかにするため、東京湾内湾部を網羅する22定点において毎月1回の頻度で環境調査および試験底曳によるシャコ採集、およびプランクトンネットによるシャコ幼生の採集を実施する。貧酸素水塊の消長を明らかにするため、各定点においてCTD-DOロガーを鉛直垂下し、深度別に水温、塩分および溶存酸素(DO)濃度を測定する。水温、塩分の水平・鉛直分布を調査し、躍層の消長を明らかにする。また、貧酸素水塊(DO濃度2mL/L未満)の発生場所および経月変化を明らかにする。野外調査を行う22定点の中から3定点(夏季に貧酸素が常在する湾奥部、貧酸素縁辺の湾中央部、および貧酸素が発生しない湾南部)を選定し、スミスマッキンタイヤ採泥器により底質試料を採取する。得られた底質試料について、粒形分布、強熱減量、酸化還元電位、全有機態炭素、全窒素、全硫化物を測定する。水質・底質の調査結果をもとに、シャコの棲息場所の環境状態の時空間的変化を明らかにする。また、シャコの餌生物の分布密度を明らかにするため、底質試料からマクロベントスを選別し、分類群同定を行った後、個体数密度を算出し、経月・経年変化を調査する。
- 関連する研究課題
- 26421 : PJ2_脆弱性を考慮した生態系影響の有害性評価と要因解析に関する研究
- : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
児玉 圭太
- 環境リスク・健康領域
生態系影響評価研究室 - 主幹研究員
- 博士(農学)
- 水産学,生物学