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平衡パッシブサンプリングによる陽イオン界面活性剤の土壌・底質吸着性の解明(令和 4年度)
Soil and sediment sorption of cationic surfactants investigated with equilibrium passive sampling methods

研究課題コード
2224CD007
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
界面活性剤,土壌吸着,有機物,パッシブサンプリング,イオン交換
キーワード(英語)
Surfactants,Soil sorption,Organic matter,Passive sampling,Ion exchange

研究概要

陽イオン界面活性剤(Cationic surfactants, CSs)は感染症対策における消毒剤をはじめ、洗剤、柔軟剤など幅広い用途で使用されており、その環境動態・影響に関する研究が必要である。土壌・底質粒子は通常、負電荷を帯びているため、CSsを強く吸着しその環境動態に大きな影響を与える。しかし実験上の難しさもあり、CSsの吸着に関する定量的な研究は限られている。本研究ではまず平衡パッシブサンプリングによるCSsのフリー溶存濃度(Cfree)の新規測定法を確立する。確立した方法を用いて環境固相(土壌・底質等)やその成分である有機物・粘土鉱物について吸着実験を行い、環境固相のCS吸着に影響を与える因子を解明する。また様々なCSsの吸着係数及び吸着等温線を測定し、イオン基やアルキル鎖長などCSsの構造特性が吸着に与える影響を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究ではまず平衡パッシブサンプリングによるCSsのフリー溶存濃度(Cfree)の新規測定法を確立する。確立した方法を用いて土壌・底質・下水汚泥やその成分である有機物・粘土鉱物について吸着実験を行い、環境固相のCS吸着に影響を与える因子を解明する。また様々なCSsの吸着係数及び吸着等温線を測定し、イオン基やアルキル鎖長などCSsの構造特性の影響を明らかにする。

今年度の研究概要

初年度(2022年度)は平衡パッシブサンプリング法によるCSsのフリー溶存濃度(Cfree)測定法の開発に取り組む。バッチ吸着実験では一般に、懸濁液をろ過や遠心分離により固相と水相とに分離し、それぞれの濃度を測定する。しかしろ過などは完全ではないため、測定濃度がCfreeより高くなり、吸着を過小評価することになる。吸着実験の平衡パッシブサンプリングでは懸濁液にパッシブサンプラー(ポリマー小片)を入れ、懸濁液内で水/固相/ポリマーの3相平衡に達した後に、ポリマー小片を取り出し、ポリマー中濃度Cpを測定する。別途測定したポリマー/水分配係数Kpwを用いてCfree=Cp/Kpwの関係からCfreeを得る。この方法はコロイドなどの影響を受けにくく、正確なCfreeの測定が可能である。しかしイオン性物質については適当なサンプラーが見つかっていないため、方法が確立されていない。
本研究では様々なポリマー吸着剤をCSsのパッシブサンプラー候補として評価する。候補としては各種被覆マイクロファイバー、ポリマーフィルム、陽イオン交換樹脂などを検討する。バッチ実験により様々な条件でKpwを測定し、比較・評価する。

課題代表者

遠藤 智司

  • 環境リスク・健康領域
    曝露影響計測研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(自然科学)
  • 化学,地学
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担当者