- 予算区分
- 若手研究
- 研究課題コード
- 2123CD103
- 開始/終了年度
- 2021~2023年
- キーワード(日本語)
- 高次脳機能,行動解析手法,動物モデル,自閉スペクトラム症
- キーワード(英語)
- cognitive functions,behavioral analysis,animal models,Autism spectrum disorder
研究概要
化学物質等の適切なリスク評価・管理を行い安全な社会を実現するため、ヒト健康に対するリスク評価は、疫学研究と動物モデル研究の双方向的に進めてゆく必要がある。しかし、精神疾患をエンドポイントとしたリスク評価については、ヒトで生じる複雑な症状を忠実に再現した動物モデル・モデル解析手法が確立しておらず、それがヒト研究との乖離を生み、動物モデルを用いた実験的検証を困難にしている。本研究では、自閉スペクトラム症(以下、ASD)に焦点をあて、小型霊長類コモン・マーモセットを用いてヒトASD症状に直結する動物モデル解析手法を確立することを目的とする。これにより、ASD症状をエンドポイントとした動物モデル研究を実施可能な評価系を整備し、化学物質等のリスク評価やASDの生物学的基盤解明研究への応用を目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究における動物実験は浜松医科大学でのみ行い(同機関の動物実験委員会にて動物実験計画承認済)、国立環境研究所では動物実験は行わず研究の総括と解析のみを行う。
飼育・実験兼用環境として、多頭飼育下におけるマーモセットの正常かつ多様な行動を引き出すために不可欠なエンリッチメント環境を整備し、この環境においてRFID(Radio frequency identification)など複数の無線通信技術を組み合わせ、日常生活下における社会的行動指標および認知行動指標を長期にわたり全自動で計測するシステムを確立する。以上により、マーモセット集団を用いて時間・空間の両軸における「表現型情報のマスデータ化」を実現し、臨床対応性に優れるASD様行動表現型を抽出する。
今年度の研究概要
無線通信技術による非接触・全自動の行動記録システムの改良および拡張を行う。表現型情報のマスデータを解析し、ASDモデル評価に有用な行動指標を確立する。
外部との連携
浜松医科大学、フェノバンス合同会社
多頭飼育マーモセットに適したエンリッチメント環境の整備および初期解析システムの導入は浜松医科大学にて前年度までに構築済みのため、動物実験については今年度も引き続き浜松医科大学にて継続する。新規システムの開発・動作検証ならびに認知課題設計は、国立環境研究所およびフェノバンス合同会社(共同研究開発機関)で行う。データ解析は国立環境研究所で行う。
- 関連する研究課題
- : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
ベナー 聖子
- 環境リスク・健康領域
統合化健康リスク研究室 - 主任研究員